『先生はえらい』
内田樹先生の『先生はえらい』ちくまプリマー新書 を読む。
まず何より、「先生はえらい」という発想自体が素晴らしい。先生が御自身のblogでも書かれていらっしゃるように、現在の日本において「先生」が誉められることはほとんどないように思う。唯一の例外といえば、暴漢に襲われて亡くなられた先生くらいだろう。つまり、そこまでしなければ誉められないということだ。あのヤンキー先生ですら、周囲との軋轢で教師を辞めざるをえなかったように。内田先生は、そのような「先生」に対して励ましの気持ちを込めてこの本をお書きになられたのだと思う。その姿勢は、かつて「日本の正しいおじさん」を擁護するために『「おじさん」的思考』をお書きになられたときから一貫しているようだ。
次いで、この本での「先生」についての定義が素晴らしい。それは、「あなたが『えらい』と思った人、それがあなたの先生である」というものだ。内田先生は、『「誰もが尊敬できる先生」なんて存在しません』と断言する。学ぶ側の、誰も知らないこの先生の素晴らしいところを私だけは知っている、という「誤解」からしか師弟関係は始まらないと言う。つまり、先生がえらいかどうかは学ぼうとする者の主観的な判断によるということだ。常識的に考えれば、周囲の人々がある程度客観的にえらいと評価した先生が「えらい先生」ということになるのだが、この本では逆になっている。その逆転の発想こそ、内田先生しかなしえないものだと思う。
この本は、中高生のみならず、先生について何かを学ぼうとする全ての人に読んでもらいたい。ほら、あなたの先生は、こんなにも素晴らしいんですよ。


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