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2005.04.27

灯台守マツモトさん、ガンバレ!

村上春樹のモトクラシ大調査も3回目になった。オカダも第2回、第3回の調査には回答した。第2回についてここで取り上げなかったのは、第2回の質問が

Q1,あなたが初めて村上さんの作品を読んだのは何歳のときですか?

Q2,初めて読んだときの第一印象はどんな感じだったでしょうか?

というものであり、引き続き第3回で「あなたが初めて読んだ作品は?」という質問がくるだろうと予想していたからなのだ。特に第2回の2問目の質問は、どの作品を読んだのかがわからないと意味がないように感じた。でも残念ながら予想はハズレた。

ちなみにオカダの答は、

A1,20歳のとき

A2,一目惚れ的に好きになった

というもの。初めて読んだ作品は、今夜、ジェイズ・バーで で書いたとおり、『風の歌を聴け』だ。それ以来発表順に読んでいるわけだから、自分ではラッキーだったと思っている。勧めてくれた加藤クン、どうもありがとう。卒業以来1度も会っていないのが、元気でやっているのだろうか。

そして第3回モトクラシ大調査の質問は、

Q1,あなたのご家族も村上さんの小説の読者ですか?

Q2,村上作品を普段読む場所は?

オカダの答は、

A1,誰もわかってくれない

オカダの家族の中にも『ノルウェイの森』を読んでよかったと言った者がいるのだが、じゃあ村上春樹のファンかというとそうでもないので、結局こういう答になった。質問では「読者」とあるのに、答の選択肢には「ファン」しかない。必ずしも「読者」=「ファン」ということはないと思うのだが。

初め選択肢の中に「夫・妻」がなくて、TBされたブログを見て後から追加された。すぐに対応したのはよかったと思う。どうやら担当の灯台守マツモトさんは独身のようだ。

A2,自分の部屋で

実際のところは、リビングと自室と6:4くらいなのだが、リビングという選択肢はなかった。多分灯台守マツモトさんは、バス付1Kの「お部屋」に住んでいるのだろう。

それにしても質問が「普段読む場所」なのに、「旅先でゆっくり」とか「作品の舞台に行って、実感しながら」とかいう、どう考えても「普段じゃない」選択肢があるのが不思議。

村上春樹の新刊プロモーションの一環としてブログでアンケートを行い、回答さらにはトラックバックを得るというインタラクティブな試みは、業界初で、《陸這記》 で仲俣暁生さんが予言していたとおりだから、非常にいいことだと思う。

それだけに、「ネタ」として面白い質問、選択肢をもっと出してほしい。新刊がいつ出るのか知らないが、まだ何のアナウンスもないところを見ると、もう少し先なのだろう。それまでにこの企画が息切れしないよう、灯台守マツモトさんにはがんばってもらいたい。質問自体をメールで募集するのもいいんじゃないかと思う。

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2005.04.25

『ノルウェイの森』その1

金の猿さんのブログに触発されて、村上春樹の『ノルウェイの森』をもう1度読む。

去年村上春樹好きの人と知り合い(リアルで)になって、村上春樹のマイブームがくすぶり始めていたのだが、WEBサイト村上モトクラシのオープンと共に、どうやら本格的なものになってきたようだ。と書くとまるでヒトゴトみたいだが。

『ノルウェイの森』はオカダにとっては、あまりに売れすぎたので、ちょっと敬遠気味だった作品だ。もちろん発売時にすぐ買って読んではいたのだが、それからは手にとることもなく過ごしてきた。

今回再読してみて、やはり素晴らしい作品だと再認識した。

(その2につづく)

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2005.04.21

ドロシー・ロー・ノルト「子ども」

ブログサーフィン(とは言わないのだろうか?)していたら、愛子さん関連で話題になったドロシー・ロー・ノルトの「子ども」という詩に関する ハナログ [子どもとメディア]例のポエム という興味深いブログを見つけた。

その中で鷲谷花さんは、

中学の教科書に載せられている、ということは、主に「子ども」の読者に読ませるためであるわけですが、確実にその中にいるであろう「批判された子ども」「殴られて成長した子ども」「笑いものにされた子ども」「皮肉にさらされた子ども」は、では、この詩を読んでどのように感じるのか?

と書かれていて、ちょっと意表を衝かれた気がした。オカダはこの詩を、ドロシー・ロー・ノルト『子どもが育つ魔法の言葉 』PHP研究所 で読んでいて、親に対する、このように子どもを育てなさいという教訓だと理解していた。だから、当の子どもに向けられたものだとは考えていなかったのだ。

それでは、なぜこの詩が中学の教科書に載せられているのだろうか。 さっそく アーネ・リンドクウィスト/ヤン・ウェステル著、川上邦夫訳『あなた自身の社会―スウェーデンの中学教科書』新評論 を読んでみた。

この詩が載っているのは、第5章 私たちの社会保障の 第3 家族での生活 の中の「子どもと家族」という項目。この中では、私たちにとって最も大事なグループは、家族だということが書かれている。しかし、後半で「あなたは、ここに述べられたような、家族についての積極的な評価に抗議したくなるかもしれません。あなたは、幸福な家族もあれば、そうでない家族もあることを知っています。」と書かれている。

そして「課題」のコーナーで、「4,あなたは、詩『子ども』のどこに共感しますか。激励や賞賛が良くないのはどんなときですか。この詩は、大人にたいして無理な要求をしていませんか。両親が要求にたいして応え切れないのはどんなときか、例を挙げましょう。」と書かれている。

つまりこの詩は、家族、もっと端的に言えば親子について考えるための教材として取り上げらているのであり、決して手放しで賞賛しているのではないということだ。何よりすごいのは、中学生に対して、親の立場になって考えてみようと言っている点だ。

鷲谷花さんの疑問に即して言えば、「批判された子ども」「殴られて成長した子ども」「笑いものにされた子ども」「皮肉にさらされた子ども」に、なぜあなたの親はそうしたのか考えてみよう、と言っているというこどだ。

この本にあるのは、鷲谷花さんが危惧する「実際に虐待を生きのびてきた子どもらの「現在」を否定する」という視点ではないと思う。「いい親もいれば、そうでない親もいる」という当たり前の事実について考えさせるものだろう。

では、実際に虐待を生きのびてきた子どもらはどうすればいいか。この本では、「若者のほとんどは、家族から離れて何もかも自分でできるように早く大きくなりたい、という欲求を感じているものです。」と現状を記述している。これはつまり、早く独立しろと促しているということだ。

内田樹先生がどこかに書かれていた(と思うのだ)が、子どもというのは何でも他人のせいにするもののことだそうだ。その論理で言うと、この教科書は、正しく「早く大人になれ」、と言っているように思う。

ともかく、鷲谷花さんの「子ども」からの視点、という捉え方は、非常に勉強になった。実はオカダも、単純にこの詩はいいと考えていたからだ。

それにしても、最近のものは知らないのだが、日本の中学の教科書(公民)に、「幸福な家族もあれば、そうでない家族もある」なんて風にさらっと書いてあるのだろうか。そもそも、あまり「家族」について勉強した覚えがない。

この項目の次は「離婚」について。最初の章は「法律と権利」で、犯罪について詳しく書かれている。訳者がまえがきで、この本を読んで感動したと書いているが、確かに優れて実用的ないい教科書だと思う。

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2005.04.20

『インターネット持仏堂』

内田先生と釈徹宗さんの『インターネット持仏堂1 いきいなりはじめる浄土真宗』『インターネット持仏堂2 はじめたばかりの浄土真宗』を読み終えた。

内田先生ファンなら御案内のとおり、この本は先生のサイトで連載されていたのを書籍化したものである。

第1巻の「読者のみなさまへ」によると、この企画は、浄土真宗について何も知らない先生が、宗教的な諸問題について、往復書簡形式で自由にお喋りしながら釈さんから仏教の基本知識を教えてもらい、それをホームページに掲載し、紙数がまとまったら本にして出そう、という趣旨で始められたとのこと。

そもそものきっかけは、本願寺出版社から先生に、「いきなりはじめる浄土真宗」の企画が持ち込まれたことだそうだが、それにしても先生の好奇心の旺盛さにはいつもながら驚かされる。

この本のユニークさは、釈さんもあとがきで書かれているとおり、先生が「あえて親鸞思想や真宗教義の情報を仕入れて語ろうとし」なかった点だ。そして、「終始一貫して常識感覚で宗教を語」っているのである。釈さんも言われるように、「普通はつい勉強してしまう」だろう。それを敢えてしないことで、通り一遍でない、豊かな対話が産み出されていると思う。

そのことに関連して、先生がTFK2第11回 ブリコラージュ的知性についてで書かれていたことを思い出した。

こちらにどれほど知的な「ストック」があって、博覧強記を誇っても、「かね
て用意のストックフレーズ」を独白するかぎりでは、まるで対話にはなりませ
ん。
でも、こちらの「ストック」が多少貧弱でも、そのストックの「使い回し」がで
きると対話はなんとか続けられる。
つまり、相手が振ってきた論件について、「あ、そういえば『それ』って、
『あれ』ですよね?」というふうに受けているとなんとかなる、ということで
す。
相手の振った「それ」がぼくにとっては未知の情報であっても、文脈からこち
らにとっては既知の「あれ」との関連性が浮かび上がる…ということってあり
ますでしょ?
ぼくが今回の二回の対談でしみじみ感じたのはこの「ストックの使いまわし」
ということの大切さでした。

是非とも全文お読みいただきたい文章だが、ここらへんに、先生の知的能力の卓越さを垣間見た気がした。

話は、「ご縁」つまり仏教における「自由と宿命」の話から始まる。先生はラカンや甲野善紀さんの著作を引用しつつ、まさに縦横無尽に語り始められる。それに対して釈さんは、仏教について丁寧に語ってゆかれる。これぞまさにコラボレーションであり、非常に知的でスリリングな展開となっている。

映画好きの先生だけあって、『猟奇的な彼女』など映画に関する話題も出てくるのも興味深い。

また、「いきなりはじめる浄土真宗」と「はじめたばかりの浄土真宗」の中に「間狂言」という、釈さんが宗教の解説をしてくれる章がある。それがとても本格的な宗教解説で、読んで非常に勉強になった。

高橋源一郎さんも本の帯に、『内田さんが「面白い!」とおっしゃっているのだから、面白いはずだ。」と書かれておられるとおり、実に面白い本だ。この本は、「仏教なんて関係ないし、興味もない」という方にも是非とも読んでいただきたい。

ただ、宗教的な問題について語られている性格上、どうしても抽象的な話になりがちで、読んでいて難しいところもあった。そういうところを、いろいろ勉強した上で読み返して理解できるようになりたいと思う。

余談だが、こうして書籍化された後になってもネットで読めるというのは、さすが先生、とことん太っ腹でいらっしゃる。

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2005.04.14

村上春樹、モトクラシ大調査

村上春樹、 村上春樹のHP、村上モトクラシで、4月12日モトクラシ大調査と称するアンケートが実施された。1000人(たった!)の予定とかで、オカダが知ったのは翌日、締め切った後で、残念ながら参加できなかった。

質問は、

1・村上春樹作品がきっかけで付き合うことになった人はいますか、友人とかガールフレンドとか?

2・村上春樹さんの作品を読むなら単行本ですか? それとも文庫?

3・『海辺のカフカ』を読みきるのに何日くらいかかりましたか?

の3問だった。 ちなみにオカダの答えは、

1・残念ながらいない

ある友だちが村上春樹のことを教えてくれたので、順序は逆ということになる。別の友だちもで、後から村上春樹が好きだとわかってよりいっそう仲良くなったという人はいる。

2・単行本

前のエントリーに書いたように、最初の2冊以外は全部単行本で買っている。「中国行きのスロウ・ボート」は、文庫で読んで、後から単行本を古本屋で買った。あと、「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」は、単行本を友人に貸したまま返してくれないので、仕方なく文庫本で買いました。さすがに文庫本まで揃えようと思わない。気にはなるけど(笑)。 アンケートの結果を見ると、やはり文庫派が多い。安いし、場所もとらないしね。

3・3日

ついつい夢中になって一気に読んでしまった。 アンケートの結果を見ると、まだ読み終わらない人が459人。文庫を買って、読んでいる途中なのだろうか。残り331人は、買ってもいないということだな。

このモトクラシ大調査は、トラックバックもできるようになっていて、いくつもの村上春樹関連ブログを読むことができたのは収穫だった。中でも、ノルウェイの森と金の猿 ~100%村上春樹ヴァージョン~はなかなか充実していた。

あと、極東ブログのfinalvenさんが日記のほうのブログで、 『なんか、村上春樹やユーミンってなんか語りづらい。ある時期までテッテ的に読んだり聞いたりしているのだけど。』と書いているのは面白かった。『ノルウェイの森』が売れて以降、そういう気持ちになるのはよくわかる。ユーミンだったら『松任谷』になって以降かな。

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2005.04.13

今夜、ジェイズ・バーで

内田先生が4月11日のブログで、村上春樹の「ジェイズ・バー」について言及されている。

村上春樹が好きだということは、今のところ内田先生とオカダの唯一の共通点かもしれない。もっとも、オカダと同じように内田先生と村上春樹の両方が好きだという人は、全国に1万人くらいいそうな気がする。もしかしたら海外にもいるかもしれないし。

オカダが初めて村上春樹を読んだのは、友人に薦められた『風の歌を聴け』(文庫版)だ。一言でいうと、とてもcoolな小説だった。すっかり気に入って、『1973年のピンボール』(文庫版)を読んだ。それからしばらくして、『羊をめぐる冒険』の単行本を買って読んだ。だから村上春樹とのつきあいはかなり長いものになる。

それらの小説に出てくる「ジェイズ・バー」は、オカダの憧れだった。いつか「ジェイズ・バー」のような店でビールを飲んでみたい、そう思いながら、4畳半一間の、朝日しか当たらない部屋で、ひとり缶ビールを飲んでいた日々。あれからずいぶん遠くへ来てしまった気がする。

内田先生も、同じように「ジェイズ・バー」に思い入れがあるようだ。オカダも、誰かにとっての「ハーバーライト」の役割を静かに引き受けて暮らしていきたいと思っている。

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2005.04.06

NHK『日本の、これから』「格差社会」

4月2日、タイトルのTV番組を見た。後半全部、前半はところどころ。

山田昌弘氏の『希望格差社会』筑摩書房がベストセラーになっており、個人的にも内田樹先生のブログで連日「希望格差」について論じられているおりでもあり、非常にタイムリーな番組だった。全部で3時間の生放送とは、さすがにNHKならではの番組編成だろう。

しかしもちろん「みなさまのNHK」であるから、番組内容が「中学生でもわかる」レベルに終始するのは仕方ないだろう。一般の参加者たちに、『希望格差社会』くらい読んでこいと要求するのは無理な話で、むしろ、一般の視聴者を代表するようなレベルの参加者たちが集められたのだろうと想像する。

で番組の最後は、「このように格差が存在する社会に、我々はどう向き合えばいいのか、1人1人が考えることが求められています」というよう感じの、いかにもNHKらしい現状追認のパターンで締めくくられたのも、想定内。

『Arisanのノート』というブログでも、『日本の、これから』「格差社会」『日本の、これから』補足で、この番組のことが取り上げられていた。

その中でArisanさんは、出演者たちが「自分の立場を離れての想像力が欠けている」点に言及されている。オカダもその点は重要だと考える。問題なのは、今現在経済的に成功している「勝ち組」と呼ばれる人たちの、そうでない人たちに対する想像力だ。

確かに今の世の中は、誰でも努力すれば大きな成功をつかむ道が開かれている社会だろう。しかし、当然ながら「誰でも成功する可能性がある」ということと、「誰でも成功できる」こととは違う。堀江社長のように現実に成功できるのは、ごく一握りの人間に限られているのである。だから、「勝ち組」の人たちも、成功したくてもできない大部分の人々について想像力を巡らせて、そういう人々もそれなりに生きていける社会の実現に協力してほしい。それが「ノブレス・オブリージェ」(高貴な人)の義務だと考える。

そこで具体的な方策としては、まず「機会の平等」の実現を目指すべきだと思う。NHKの番組でも外国人女性の方が意見を述べていたが、能力があって希望する人は、誰でも大学へ進学できるように、返還義務のない奨学金や入学金・授業料の減免といった措置を講じるべきだ。

その財源は、相続税を拡充することで賄うのだ。堀江社長も、「不公平を是正するために政府はもっと相続税をとるべき」といった旨の発言をしていた。現在相続税の基礎控除は5千万円。これは高すぎるので、もっと下げるべきだ。

資本主義社会において格差があるのは避けられないと思うが、それは程度問題であり、極端な格差を是正するために政府は「所得の再分配」をきちっと行うべきだと思う。

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2005.04.01

内田先生からコメントが!

当ブログの前のエントリー

に、なんと内田先生からコメントを頂いた。それを見たときは嬉しさのあまりディスプレイの前で思いっきり大の字にジャンプして、着地するまでに足の裏を2回合わせたくなるくらいだった。

さすがは先生、礼節を重んじられるお方だ。

>たびたび拙論に丁重な読解をしてくださって、ありがとうございます。

などと言われたら、こちらはただ畏まって恐縮するしかない。

そもそもオカダがこのブログを始めたのは、増田真樹『超簡単!ブログ入門』角川書店 に触発されて、世間でブログが流行っているから自分も、というミーハーな気持ちがあったのはもちろんだが、内田先生がブログや著書でお書きになったものについて読んで考えたことを、書くことによって、自分の考えをより深めたいと思ったからだ。そして、同じ内田先生の読者の方々と交流したいという希望もあった。

しかし、いざブログを始めてみると、想像以上に難しかった。そもそもオカダは普段あまり文章を書くことがない。しかもまだ見ぬ不特定多数の人々へ向けて書くわけだから、どのように書くかもまだ手探りの状態だ。

それでも、トラックバックを打っていただいたり、コメントを書いていただいたりすると、嬉しいし励みにもなる。まして尊敬する内田先生御自身からコメントを頂いて、ブログを始めてよかったと思う。これからもマイペースで続けていきたい。

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