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2005.07.28

TVドラマ『がんばっていきまっしょい』第四艇

今回のストーリーは、大野仁美がいよいよ女子ボート部のコーチになって、合宿が行われるという話。

初めの方でいきなり新配役の中田三郎が登場してきたのにはビックリ。映画では出てこなかった原作の第2部「イージーオール」では、中田三郎は非常に重要な人物なので、ドラマでも外せないだろうとは思っていたのだが、ドラマでは原作以上に大活躍するという設定なのだろうか。キャスト&スタッフも短期間での撮影、大変だっただろう。

しかし、新しい田口君の中田三郎は、内君のより王子様度は少し落ちる印象。原作では成績も学年トップなのだが、そういう風に見えないところが少し残念。

今回のストーリーの目玉は、悦ネエと仁美コーチとの対立。ボートを漕ぎたい悦ネエたちに対して、ボートの講義、そしてエルゴメーターによるトレーニングを命じるコーチ。とうとう合宿最終日にキレて、勝手に海へと漕ぎだしてゆく悦ネエたち。

選手とコーチの確執という展開は、スポ根ドラマでは定番とも言えるものだと思う。このドラマもそれをきっちり踏襲しているようだ。

そして、漕いでみて、基礎トレーニングの成果を実感した悦ネエたち。夕陽の海で、それを話し合う悦ネエたち。ここはなかなかいいシーンだった。

でも、本来ならもう少し盛り上がるシーンになるはずだったのだろうが、この時点で、陸では悦ネエたちが遭難したのではという騒動が持ち上がっており、見ているこちらとしては、悦ネエたちの会話をじっくり聞いている余裕はなかった。悦ネエたちの夕陽のシーンと、陸で遭難したのではと騒ぎ出すシーンとは、順番を逆にした方が良かったのではないか。というか、騒ぎ始めるのが早かった気がする。それにしても、三郎はなぜいつもと違う方へこいでいったと気づいたのだろう。いつもは練習を見ていない筈なのだが。

そして最後の場面。謝る部員たちに対して、立ち去る仁美。それはちょっと大人げないんじゃ、という気がした。さらに女子部員に絶縁状を叩きつける男子部員たち。ちょっと驚きの展開だった。原作、映画共にブーは悦ネエを見守る立場だったのに、真っ先に糾弾の声を上げるとは。

ということで今回の話、どこまでそうなのかはわからないが、ついつい例の事件の悪影響を考えてしまって、十分には楽しめなかった。オカダの評価は☆☆★。

次回は特別艇ということで少し残念ではあるが、その間に体制をたて直してもらいたい。キャスト&スタッフのみなさん、がんばっていきまっしょい!しょい!もひとーつ、がんばっていきまっしょい!しょい!

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2005.07.27

オカダの羊をめぐる冒険、その2

旅の2日目。「居酒屋 釧路」のママさんからの情報に基づき、オカダは北海道のへそ、富良野、美瑛へと向かうことにした。富良野へは札幌駅から富良野エクスプレスで2時間ちょっと。

汽車が富良野駅に近づくと、社内放送であの『北の国から』のテーマ曲が流れてきて、不思議と望郷の念にも似た懐かしい感情がわき上がってきた。

富良野駅でいったん下車し、駅近くの「三日月食堂」で、昼食に醤油ラーメンを食べる。ここは『北の国から』のロケでも使われた店。ラーメンも昔懐かしい味だった。

それから再び富良野駅に戻り、ノロッコ列車に乗って美瑛へ。この列車は観光用の列車で、雄大な景色をゆったりと眺めることができ、列車のスタッフが詳細にガイドしてくれて、とてもいい列車だった。あとはカツレツサンドがあれば申し分なかったのだが。

列車には中国人(台湾人?)のグループも乗っていて、飛び交う中国語が、遠くへ来たのだという気分を盛り上げてくれた。その中には涼しげな目をした少女がいて、長い黒髪に耳が隠れていた。思わず耳を見せてくれないかと声をかけそうになったが、中国語が喋れないため断念。

1時間ほどで美瑛駅に到着。時間が限られているので、駅前で観光タクシーに乗り、「パッチワークの路」と「パノラマロード」の要所を案内してもらう。さすがに観光名所だけあって、本州では見られないようなスケールの大きな景色に見とれてしまう。「哲学の木」というのを見たが、そのネーミングのセンスには感心させられる。「鼠の別荘」らしき建物を探したが見つからず、残念。自衛隊出身だという運転手さんは、とても親切でいい人だった。

そして普通列車で富良野に戻り、今夜の宿、新富良野プリンスホテルへ。13階の和食レストランで、富良野盆地の夜景を見下ろしながら飲むビールは格別だった。フロア係の男性が、とても親切に応対してくれて気分が良かった、

その後急いで森の小人が住むという「ニングルテラス」へ。森の中、儚い光に照らされて浮かぶ小さな家々は、とても幻想的だった。

そこを抜けて喫茶店「森の時計」へ。しかし残念ながら夜9時で閉店していた。

こうして2日目の冒険は終わった。やはり北海道は広い。羊も簡単には見つかりそうにない。とりあえず明日はどこへ行くか、それが問題だ。

さて、第14回モトクラシ大調査

Q1・「ビーチボーイズ」メンバーの来日記念問題です。村上春樹さんはビーチボーイズのファンとしても名高い方ですが、村上さんの小説に登場する数々のビーチボーイズの曲の中で、あなたの好きな曲はどれですか?

やっぱ「サーフィンU.S.A.」でしょう。『風の歌を聴け』に登場したという点では「カリフォルニア・ガールズ」も捨てがたいのだけど。

Q2・あなたが初めて読んだ村上春樹さんの短編集はどれですか?

『中国行きのスロウ・ボート』。オカダの最も好きな短編集。その中での1番はというと、「午後の最後の芝生」。あの家の娘さんのことは、今でも気になる(笑)。

そういえば、『村上モトクラシ』のトップページも夏バージョンに変わっている。浴衣に団扇の春樹さんはなかなかイカしている。花火といい、夏らしくていい感じだ。でも、リアルで春樹さんが浴衣を着たりすることがあるのだろうか。意外に、ボストンで着てたりして。

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2005.07.21

TVドラマ『がんばっていきまっしょい』第三艇

今回のストーリーは、悦ネエの特別練習、そして新人戦についての話。

特別練習ではくじけそうになってしまった悦ネエだが、新人戦のレース中での悦ネエのセリフ「わたし、もう逃げん」には、またまたうるうるさせられてしまった。棄権することなく最後までレースを続ける部員たち。それを暖かく拍手で応援する観客ったち。見ているこちらも拍手したくなった。自分だったら、みっともなくてすぐリタイヤしてしまうだろうなあ。そんなことでは「スタートのゴール」にたどり着けないということを教えられた。

悦ネエたちのライバルとして登場してきた新海高校の田中ちえみ(関めぐみ)も、なかなかいい味を出していて、今後の絡みが楽しみだ。でも、「お嬢さんクルー」という言葉の意味が視聴者に伝わったかはちょっと不安。

それにしても、その田中ちえみの中学の同級生という設定だったらしい中田三郎役の内博貴がドラマを降板したとは、ハマリ役だと思っていただけに残念。ブログ等の情報によると、むしろ被害者みたいな立場らしく、気の毒な気がする。代役が立てられるということで、ドラマへの影響が最小限で済むといいのだが。

今回の話では、ちょっとレースのシーンが長過ぎたような気がしたが、その影響だったのだろうか。本来なら新人戦の会場で田中ちえみと絡むシーンがあったのだろう。

今回の話で残念だったのは、ブーが悦ネエにサッカー部をやめたいきさつを話し「自分にうそをついたら必ず負ける」と語るシーン。重要なシーンだから、セリフを長くして、もっと丁寧に描写して欲しかった。

そんなこんなで、第三艇に対するオカダの評価は☆☆☆☆。ちょっとトラブルがあったけど、これからもがんばっていいドラマを作って欲しい。キャスト&スタッフのみなさん、がんばっていきまっしょい!しょい!もひとーつ、がんばっていきまっしょい!しょい!

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2005.07.20

オカダ、羊をめぐる冒険の旅に出る

とある事情により、背中に星の印のついた羊を探さなければならないことになったオカダは、北海道へ向けて旅立った。空港にて、旅のバイブルを買っておかねばと思い探したのだが、売店では『羊をめぐる冒険』の文庫本の下巻しか見つからず、断念。

昼過ぎに札幌に到着した後は、まず腹ごしらえ。駅のそばにある「ラーメン共和国」というラーメン屋街の中の「とらや食堂」で、昭和30年代から味を変えてないという醤油ラーメンを食べる。そこで羊についての情報を得ようと、隣の席の2人連れの女性に尋ねると、札幌市の南部にあるその名もズバリの「羊ヶ丘」には、それらしい羊がいるという話は聞いたことがないという。そこで、お2人のお薦めに従い、JRタワーの展望室に上ってみることにする。

JRタワー展望室T38では、地上160メートルの高さから周囲を一望することができ、景色を満喫することができた。ガラス張りのトイレで用を足していると、まさしく下界に向かって放水しているような気分になった。しかし残念ながら羊についての手がかりは得られなかった。

だんだん日が暮れてきたので、今夜の宿を探さなければならない。電話帳をめくってみたが、残念ながら「ドルフィンホテル」は見つからなかった。「ドルフィンホテル」に泊まらなければ、羊博士に会うこともできないので途方に暮れてしまった。仕方なく、駅からほど近い「ホテルモントレー札幌」に行く。外観は緑の屋根とクリーム色の壁で、内装は英国調のなかなかシックなホテルだった。

一休みした後、町中を探索。旧北海道庁、時計台を経由して、すすき野へ。昼間、ラーメン屋でいろいろ親切に教えてくれた女性がやっているという「居酒屋 釧路」へ。活ホタテ、活ホッキ貝、秋刀魚の刺身、ラム肉、ホッケなどを食べ、サッポロビールを飲む。帰り、夜空に咲いては散る大輪の花火を見物。

こうして第1日目の冒険は終わった。「居酒屋 釧路」のママさんや常連のお客さんなど、北の人々の暖かい人柄に触れることができたのが今日1日の最大の収穫だった。果たして明日からはどんな冒険が待っているのだろうか。

さて、第13回モトクラシ大調査

Q1.村上春樹さんの長編小説に書かれている場所で、あなたが一週間滞在できるとしたらどこがいいですか?

 当然、『羊をめぐる冒険』のいるかホテル。

2.村上春樹さんの長編小説の、登場人物の服装で、あなたが好きなのはどれですか?

 これは、『ダンス・ダンス・ダンス』のユミヨシさんのライト・ブルーのホテルの制服。ユミヨシさんって、春樹さんの小説の中では一番クセのない素敵な女性だと思う。メガネをかけているのもまた魅力的だ。

それにしても、「登場人物の服装で、あなたが好きなのは」というのは、いかにも女性らしい視点からの質問だと感じた。確かに、どれも印象に残る服装ばかりで、春樹さんのセンスの良さが表れていると思う。

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2005.07.14

第12回村上モトクラシ大調査

今回の大調査は、

Q1・『ジャズ・アネクドーツ』に登場する中で好きなミュージシャンは誰ですか? エピソードが好き、音楽が好き、など理由はなんでも構いません。以下の中からお選びください。

もう『ジャズ・アネクドーツ』が発売されたとようなので、早く買わなくては。そういえば、『さよならバードランド』も買ったまま読んでなかった。早く読まなくては。

ということで、オカダの答はチャ-リ・ーパーカー。夭折した天才サックスプレイヤー、ニックネームは「バード」。もし彼が麻薬に染まらなかったら、と思うと残念でならない。

Q2・村上春樹さんファン(特に男性)は、村上作品に出てくる登場人物にどこか似ているのではないか、という気がするのですが、実際はどうでしょうか? 以下の中から「自分の知っている村上ファンはこんなところが登場人物と共通している」と思うものをお選びください。

これはなかなか面白い質問だった。オカダがリアルで知っている男性の村上春樹ファンは、実は1人しかいないのだが、彼は料理をするのが好きだ。

春樹さんのファンは、自分もそうなのだが、集団で行動するよりも単独で行動する方を好む人が多いのではないかと考えたりするのだが、そもそも読書という行為自体が1人でするものだから、春樹さんファンだけに当てはまるものではないということではある。

でも回答では「1人旅が好き」というのが1番多かったから、多少当たっているのかもしれない。

ちなみにオカダは、旅は好きだが滅多に行かない。本の中の世界へ「空想の旅」に出かける方が好きだから。

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2005.07.13

TVドラマ『がんばっていきまっしょい』第二艇

今回のストーリーは、女子ボート部最後のメンバー、ダッコ(岩佐真悠子)にまつわる話がメインだった。どんな展開でダッコが入部することになるのか、興味津々だったが、なるほどそうきたか、と思わせる展開だった。

ダッコの両親が不仲で家庭がうまくいっていないことが、ダッコが入部に至る伏線として設定されたわけだが、少女が非行(ぽいこと)に走る原因として家庭の不和を持ってくるのはちょっと平凡な気がした。

でもダッコの父親は元ボート部で、輝かしい成績を収めた過去があるので、それ故に自分がボート部に入ることで両親がコミュニケーションをとるきっかけにしてもらいたいと考えたのだ。実はダッコは健気で一所懸命な娘っだた、というのはなかなかいい展開だったと思う。

ダッコが豪華な自宅でひとりコンビニ弁当を食べているシーンは、うまくいっていない家庭を象徴していて、優れた情景描写だと思う。そういえば、どなたかのブログに、知り合いの豪邸でロケが行われた、と書いてあったが、このシーンのことだろうか。

そしてラストの、ボートハウス前の防波堤でのシーン。夕日に照らされた海。たたずむ少女たち。青春ドラマには欠かせない光景だが、やはり絵になる。

悦ネエがダッコに言った「友だちやけん」。聞いていて思わず目頭が熱くなってしまった。友情ってすばらしい。大人になってすっかり汚れてしまったオカダは、友だち関係もきれい事だけでは済まないことを知っているからこそ、悦ネエのセリフに心を揺さぶられてしまったのかもしれない。

そういえば今回、原作では学校創立記念リレーカーニバルだったのが、男子部対抗ビーチフラッグ大会に変わっていた。なんとなく残念。

そんなこんなで、第二艇に対するオカダの評価は☆☆☆☆★。次回はもう新人戦らしい。ちょっと展開が速い気がする。

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2005.07.12

映画『がんばっていきまっしょい』上映

今夜のTVドラマ第2艇が楽しみな『がんばっていきまっしょい』ですが、今度映画が上映されるそうです。

日時 7月23日(土)~8月5日(金)
   12:10 ~ 終14:15

場所 シネマルナティック湊町(松山市湊町3丁目1-9 マツゲキビル2F)
TEL 089-933-9240

ここは愛媛で唯一のミニシアター『シネマルナティック』の2号館で、7月1日にオープンしたところです。

映画の方はまだ見たことのない方も、ビデオ・DVDでしか見たことがない方も、見たことがある方も、お近くの方は、是非行かれて大画面でご覧になってみては。オカダも是非行きたいと思っています。

『トニー滝谷』 もここで見ることができたので、オカダは『シネマルナティック』を応援しています。ここの経営者兼支配人兼従業員である橋本達也さんは、とても映画に情熱を持ち続けている方だそうです。

ここでは缶ジュースも100円で販売していて非常に良心的。定価で売って経営の足しにして欲しいくらいですが。

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2005.07.08

コレクションという愉悦

第11回村上モトクラシ大調査 は、「先日アップした村上春樹さんからのメッセージにはたくさんのトラックバックを頂戴しました。メッセージ中にはたくさんの話題が出てきましたが、その中で、あなたがとくに興味をもったのはどの項目でしたか?」というもので、オカダは迷わずレコードを選んだのだが、ダンキン・ドーナッツと映画を選んだ人が圧倒的だった。

そして、今週もまた春樹さんからのメッセージ が届いていてうれしかった。内容は中古ジャズ・レコードの収穫の話。しかし、そこそこジャズ好きのオカダも全然聞いたことのない固有名詞のオンパレードだった。

そういえば、『ペントハウス日本版』という月刊雑誌の83年12月号に、『古くて新しいアメリカ紀行 オールディーズ・バット…イン・USA』というタイトルの、春樹さんのルポが出ていたのを思い出し、引っ張り出してみた。

内容は、アメリカで中古のレコードを入手することについてで、全米11都市を回って、各都市の中古レコード屋の充実度についてレポートしたもの、全6ページオールカラーの内容。二重丸がついてるのはボストンとホノルル。

ボストンについてのコメントは、「宝庫。1週間でもいたい。とくにハーバード大学近辺」と書いてある。それで今ボストンに住んでいるのかも(笑)。このときもボストンで、マット・デニスの"SINGS AND PLAYS"(KAPP.KL-1024)を1ドル90セントという「腰を抜かす安さ」で買っている。よっぽどお気に入りなんだなあ、マット・デニス。でもこの頃はまだ1ドル300円くらいしたんじゃなかったかと思うので、同じ1ドルでも値打ちはかなり違うのだろうけど。

記事中に、そのとき買った110枚のレコードジャケットがアメリカ地図の形に並べられているのだが、これでも全部ではないとのこと。「この旅で、ダンボール箱3つのレコードを買った」とあるから、かなり大量に買い込んだのだろう。

春樹さんにとっての1983年はというと、前年に『羊をめぐる冒険』を出版し、その年には短編小説集『中国行きのスロウ・ボート』や『カンガルー日和』を出版していて、作家としての地位を着実なものにしつつある年だったようだ。

疑問なのは、この記事のどこにも「作家」というキャプションがついてなくて、春樹さんの紹介も出ていないこと。記事のトップページには、レコードで顔の左半分を隠した春樹さんの顔写真が載っている。この時点で、紹介の必要もないくらい有名だったということかな。

ちなみに、オカダが集めているものというと、本ということになる。「本はナマモノだから、今買っておかないと次買えるかどうかわからない」と思うとついつい買ってしまう。結果、本が家にあふれてしまうことになる。春樹さん関連の本もかなり増えたし。春樹さんの大磯のおうちみたいな広い家に住みたいなあ。

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2005.07.06

TVドラマ『がんばっていきまっしょい』第一艇

待ちに待ったTVドラマ『がんばっていきまっしょい』の第1回が放映された。ナイター中継延長のため、30分遅れの10時40分スタート。

原作の小説及び映画版に特別な思い入れのある者としては、多少不安な気持ちもあり、原作者の敷村良子さんが「原作の文庫化と引き換えに、悪魔に魂を売った」などということにならなければいいなと思っていたのだが、初回を見た限りでは、それなりに満足できる仕上がりになっていたと思う。

制作者としては、「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」の女子ボート部版を作りたかったのだろう。一口に言えば学園青春ドラマということだ。そして、学園青春ドラマ(に限らないのだが)が視聴者に受け入れられるかどうかは、視聴者が主人公たちにどれだけ感情移入できるかにかかっていると思う。

このドラマの肝(キモ)になるのは、主人公悦子の、「どうしてもボートをやりたい」という気持ちだろう。その気持ちを、視聴者が共有できるがどうかが、このドラマの成否の大きな鍵となると思う。

悦子(鈴木杏)は半日家出をして、たまたま海でボートを見たことで、そういう気持ちになったのだが、ドラマではそのことを回想しながら友人に話すという形で表現していた。それを胸が「フルフル」した、と表現していたのだが、どうもドラマではその表現方法がもう一つで、こちらの胸には迫ってこなかった。映画ではもう少しスムーズに映像で表現していて、それと比較すると少し惜しいと思った。

しかし終わり近くで悦子が1年1組の教室に入って、「濃い高校生活を送りたい」「友だちと深いつきあいをしたい」と声を張り上げるシーンは、なかなか感動的だった。それに続いてのボートハウスでリー(相武紗季)たち3人が加わるシーンも、見ていて気持ちが盛り上がった。

ドラマの始まりと最後にコーチ役の大野仁美(石田ゆり子)を登場させて語らせる手法は、なかなか効果的だと思った。

原作・映画にない設定といえば、リーとダッコ(岩佐真悠子)の確執だろう。ダッコのキャラ設定はかなり強烈で、これからのストーリーに彩りを添えることになるのだろう。今後の展開が楽しみだ。

もう1点、原作・映画にないシーンとして目についたのは、リーが悦子に、「目立たないようにしよう」とレクチャーする場面。リーは女子生徒たちをABCランクに分けて、Bランクの子たちとつき合うようにしよう、というのだが、今どきの女子生徒はそんなふうに自分の相対的な「位置」を見極めて行動するものなのだろうか。そういえば、綿矢りさの『蹴りたい背中』にも似たような話は出てきたが。

そんなこんなで、第一艇に対するオカダの評価は☆☆☆☆。次回が待ち遠しい。

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2005.07.04

『大学のエスノグラフィティ』

船曳建夫『大学のエスノグラフィティ』有斐閣 を興味深く読んだ。著者は東京大学大学院総合文化研究科教授で、文化人類学者。あの『知の技法』の編著者。

「エスノグラフィ」とは、文化人類学において、ある集団や社会の全体を記述したもののこと。「エスノグラフィティ」とは著者の友人の造語で、この本は大学の「全体」ではなく、「私の視点から切り取ったいくつかの大学についての「走り描き」を重ねたもの」だからという理由により命名したとのこと。

内容は非常に興味深かったが、中でも第1章の「ゼミの風景から」はいろいろ面白かった。

「3 ゼミの技法」の項では、ゼミにとって最適な人数は、「12人というのがマジックナンバーのような気がします」と書いている。12人と言えば、映画「十二人の怒れる男」を思い出す。この12人というのは、アメリカの裁判における陪審員の数のことなのだが、議論するにはそれくらいの人数がちょうどいいということなのだろう。日本で導入が予定されている裁判員制度も、裁判官と裁判員併せて12人という案が出ていた。

ちなみにオカダも3回生のとき必修のゼミをとっていたが、学生は40人くらいだった。2人がペアになって発表を行い、それについて討論するというものだったが、1年に1度担当が回ってきただけで、非常に楽だった。どういう事情でそのような人数だったのかは知らないのだが、楽故に人気のあるゼミだった。

また興味深かったのはゼミの面接について。著者は2回面接を行ってゼミに取る学生を選ぶそうで、そのことからもゼミに非常に力を入れていることが窺える。2年に1度はゼミのOB会を開催するというのだから恐れ入る。

先生は学生を「愛して」いないとやっていられず、では学生を愛する秘訣は何かと言うと、気に入った学生しか取らないということだそうで、思わずナットク。

そういえば内田先生も以前ラカン的ゼミ面接 というエントリーで、『内田ゼミのゼミ生選抜基準は「まわりの友だちから『あなた変よ』と言われている人」』と語っておられた。

著者も、多くの学生に「君はどういう人ですか?」と質問するそうだが、「友だちは、変わった奴だと言います」と答える学生に、変わった学生がいたためしはないそうだ。それは、「自分で自分のことを考えたことがないので、他人がどう言うかを自分の説明としている」から、となかなか手厳しい。この辺り、内田先生との考え方の違いは非常に面白い。

ちなみにオカダのゼミはくじ引きによる先着順だった。面接だったら果たして取ってもらえただろうか。

他にもいろいろ取りあげたい内容が盛り沢山だが、今日はこの辺で。本の帯には「上野千鶴子氏も推薦!」とあり(笑)、ウチディエンヌ&ウチディアンにはおススメの1冊。

そういえばこの著者の『「日本人論」再考』は興味を惹かれるタイトルだが未読。そのうち読んでみることにしよう。

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