『街場のアメリカ論』
内田樹先生の新著をようやく読み終わった。この本も、
「原因」というのは、「原因がわからないとき」にだけ人間の脳裏に浮かぶ概念なんです。(p38)
とか、
ある歴史的な出来事の意味を理解するためには、(中略)「なぜ、この出来事は起きたのに、他の出来事は起きなかったのか?」という問いも同時に必要なのです。(p39)
などなど、内田先生ならではの知見が横溢していて、瞠目させられることばかりだ。
中でも印象に残ったのは、第3章 哀しみのスーパースター ーアメリカン・コミック における、アメリカンヒーローの話だ。少し前に映画「スパイダーマン」をTVで見たのだが、まさに「無理解と受難」というストーリーだったように思う。いつか多くのアメリカ国民が、『「世界の警察官」アメリカが、世界に平和をもたらすよりはむしろ不和と戦争をもたらしている』、という事実に気づくとき、そのようなストーリーも変化するのだろうか。
それにしても、戦後アメリカにかけられた「従者」の呪いは、相当強力であることは間違いない。それにどう対処していくか、日本人は今後も常に悩まされることだろう。今流行っている嫌中・嫌韓なども、その呪いと大いに関係があるように思う。
この本はよく売れているようで、その事実は、『「他人が間違っていること」を論証するために割いているのと同程度の知的資源を「自分が間違っている可能性」を吟味するために割』く習慣を持つ人々が、一定数いることを指し示しているのだろう。
直接本とは関係ないが、先生の26日のエントリーに、79歳になる御母上から「よくわかった」というファックスが届いたと書かれてあった。オカダなどは、現時点では半分くらいしか理解できてないと思うので、我が身の浅学をただ恥じるばかりである。ファックスを使いこなしておられるのにも感心した、というのは御高齢の方に対する偏見だろうか。


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