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2006.06.01

『誰も知らない』

WOWOWで放映された映画『誰も知らない』を見た。2004年に第57回カンヌ国際映画祭で、主演の柳楽優弥君が最年少で最優秀男優賞を受賞した作品。

この映画は巣鴨子供置き去り事件という実話に基づいているそうで、(ヤヤーさん、HPの御紹介ありがとうございました) 本編の冒頭にも「実話を参考にして脚色している」という内容のテロップが出て、それだけに、母親が家を出ていってしまい4人の子どもたちだけで健気に生きていく姿を見て、現実の子どもたちのことを思うと、やるせなくてたまらなかった。

最も印象に残ったのは、主人公の明と母親がドーナツ屋で会話をするシーン。「いつになったら学校へ行かせてくれるの」と迫る明に、「学校なんか行かなくていいよ」と答える母親。「お母さんはいつだって勝手だ」と怒る明に、「お母さんが幸せになっちゃいけないの」と切り返す母親。

女の幸せを求めて男と同棲しようとする母親の気持ちもわからないではないけど、だからと言って子どもを放っておいていいということは当然だけどならない。

内田樹先生が「平尾さんのスクラム論を読む」というエントリーで、

誰もいないときがいちばん「自分らしく」、出会う人がふえるごとに「自分らしくなくなる」というのなら、それはたぶん「自分」というものの設定の仕方が間違っているのである。
他者と出会ったときに、その接点に生成する複素的な構造体を「私」と考えることはできないのか。
私はできると思う。

と書いている。

この母親は、子どもたちがいるから自分は幸せになれない、と考えて子どもたちを放り出したのだろう。そうではなくて、自分も子どもたちも、みんなが幸せになれる方法を辛抱強く考えてほしかったと思う。

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Comments

たびたびご紹介いただいて嬉しいです。
ありがとうございます。

この映画は確かに現実よりははるかに悲惨ではないのですが、事実は小説より奇なりとはよく言ったものです。
だからこその「フィクション」なのでしょう。
わたしたちの隣りで、毎日こうして暮らしている子どもがいるかも知れない。
CGやら派手なアクションやらの目にうっとおしいハリウッド的映画が席巻している中で、普段の生活を淡々と撮り続けた画面は落ち着きがあって、静かに訴えているように思います。
戦場の子どもたちのように報道されなければ、わたしたちは隣人を知ろうともしない。
さまざまなことを考えました。

Posted by: ヤヤー | 2006.06.01 at 09:14 PM

ヤヤーさんへ
実際に、現実の方がずっと悲惨な事件が多いですよね。パチンコをする両親に車に置き去りにされたり、生活苦からとはいえ餓死させられそうになったり。少子化問題の前に、今いる子どもたちが大事にされてないようにも見えます。
この映画は、おっしゃるとおり淡々とした描き方がかえって強くこちらを揺さぶられました。
子供たちが久々に外へ出てはしゃぐ場面は、こちらもうれしくなりました。

Posted by: オカダ | 2006.06.02 at 07:00 PM

オカダさん おはようございます。
出生率の話題もニュースで聞いたばかりですが、私も子供のことは最近よく考えます。
健康な体でも産まないことを決める人もいるし、はたから見れば将来の見通しが立たないのに子供をもつ人もいます。
それぞれの人生だからほかの人のことは知らないと言うことや、政治に責任を押しつけるのは簡単ですが、それは結局何にもならない気がします。かといって、じゃあどうすればいいかは分からず、結局ずっと考えているばかりです。

Posted by: ciao* | 2006.06.03 at 09:47 AM

cio*さん、こんばんは。個人の生き方という点と、日本社会全体としての点とを考えると、ほんと少子化の問題は難しいですね。

Posted by: オカダ | 2006.06.05 at 07:52 PM

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