« September 2007 | Main | November 2007 »

2007.10.31

『映画篇』

金城一紀 『映画篇』 集英社 を読んだ。この本のことは何かの書評で読んで知っていて、面白そうだなと思っていたので、図書館の新刊コーナーで見つけたときには嬉しかった。で、他の本も一緒に借りようと思ってその場所を離れて、少し経ってから戻ってみると、本がない orz。後から来た人が借りていったらしい。仕方なく予約して帰ったのだけど、借りられたのは3週間後だった。貸し出し期間は2週間なのに。やっぱりこれという本はさっさと確保しておかないといけないなあ。こんな田舎の図書館でも。

そんなわけでようやく読むことができたのだけど、内容は期待どおりだった。全体は5つのエピソードに分かれていて、それぞれ様々な映画が重要なモチーフとして出てきて、各章のタイトルにも映画の題名がつけられている。『太陽がいっぱい』、『ドラゴン怒りの鉄拳』、『恋のためらい/フランキーとジョニー もしくは トゥルー・ロマンス』、『ペイルライダー』、『愛の泉』。そして、『ローマの休日』が全編に渡って登場してくる。

どの話も心に染みるものだったけど、中でも第1話の『太陽がいっぱい』は、映画が好きでたまらない少年二人の話で、これを読んで無性に映画館に行きたくなってしまった。やっぱり映画館の暗闇には魔物が棲んでいるのだなあ。

最後の『愛の泉』は、とても心が暖まる話だった。今どき都会で、こんな濃密な親戚関係は珍しいんじゃないかという気がしたけど。『愛の泉』という映画があるのを知らなかったので、見てみたくなった。

金城一紀の小説を読むのはこれが初めてだったけど、作者はかなりの映画ファンらしい。その様子は、この本の期間限定の 公式サイト でも窺いしることができた。次は映画の『GO』を見てみたいなあ。

映画好きにはホントにお勧めの1冊。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

2007.10.26

『さくら』

読書の秋は、やっぱり読書が捗る。そんな中、西加奈子 『さくら』 小学館 を読んだ。これは、『鴨川モルホー』 の記事で紹介した、新聞記事で取り上げられていた関西の作家のうちの残る一人。その後、土曜朝のワイドショーでも取り上げられているのを偶然見た。

内容は、飼い犬のサクラを中心とした、僕と、兄、妹、そして父さん、母さんの家族の物語。

先日の記事でもちらっと触れたけど、『村上朝日堂 はいほー!』の中で披瀝された、村上春樹の家庭というものに対する考え方、つまり「家庭というのはあくまで暫定的な制度であり、通りすぎていくもの、不断に変化し移りゆくものである」をそのまま小説にしたような感じだった。結局のところ、家族というのはいつか失われるものなのだ。だからこそ尊く、美しい。そしてまた、少年の若さはいつかは失われ、少女の美しさもまた然り。

読んで、透き通った哀しみ、とでもいうような感情を味わった。ちょっと瀬尾まいこの『幸福な食卓』を思い出させるようなところがあった。いってみれば関西版の『幸福な食卓』といったところかなあ。

| | Comments (4) | TrackBack (0)

2007.10.24

『カンナ8号線』

夜、自転車で帰宅する途中、家の近くまできたら甘いかおりが漂ってきた。見上げると、ご近所の庭の大きなキンモクセイの木の上の方で、まん丸が少し欠けた月が明るく輝いていた。そういえば、今晩は十三夜だった。

13moon

家に帰ってお月見。今夜は、お団子の代わりに頂き物の生八つ橋。いちご餡とよもぎ餡のものもあって、オーソドックスなものしか知らなかったのでちょっとびっくり。伝統ある和菓子も、時代に合わせて新しいバリエーションが作られているのだなあ。

Yatuhasi10242

BGMは、このアルバムに収録されている『カンナ8号線』。秋といえばこの曲を思い出す。

想い出にひかれて

ああ ここまできたけれど

あの頃の二人はもうどこにもいない

の歌詞が、強く印象に残っている。真っ赤なカンナの花の前で佇む女性の姿が思い浮かび、彼女が抱く喪失感がこちらにも響いてくる。

この歌は、メロディとアレンジもすごくいい。イントロのギターと、それに被さるように聞こえてくるストリングス、そして間奏のギターソロと弾むようなチョッパーベース。アップテンポでありながら、哀愁を帯びたメロディ。非常に気に入っている。

最近知ったのだけど、カンナの花が咲くのは夏なので、これはホントは夏の歌だそうだ(^_^;)。それでも、オカダにとっては、この歌はこれからも秋に聴く曲であり続けることだろう。

24日追記:今夜は14番目の月だなあ。

| | Comments (8) | TrackBack (0)

2007.10.19

『村上春樹にご用心』

内田樹先生の 『村上春樹にご用心』 アルテスパブリッシング を読み終えた。
内田先生はあれだけお忙しいのによく書けたなあと思ったら、新聞や雑誌等に寄稿したものや、大半はブログに書いたものを集めた本だった。といっても、かなり加筆訂正いているので、中にはオリジナルとは似ても似つかぬものもあるそうだ。

冒頭は、「2006年ノーベル文学賞受賞の祝辞」。これは2006年にある新聞社からコメントを求められて書いた文章。いわゆる予定原稿というもの。これが内田先生らしい風刺に富んだ文章で、なかなか刺激的だった。結局去年も今年も受賞できなかったわけだけど、偏屈なムラカミファンとしては、ほっとしたところも多少ある(^_^;)。

全編を通じて、縦横無尽に、村上春樹について語ったり、何かについて語る折に村上春樹の小説や言葉について言及したりしていて、とても読み応えがあった。先生のブログを毎日読んでいる者としては、既知の内容も多かったけど、本という形でじっくり読むことができてよかった。読み終わったら本が例によって傍線だらけ、付箋だらけになっていた(笑)。

中でも印象に残ったのは、「ふるさとは遠きにありて思ふもの」という文章。家庭について、『村上朝日堂 はいほー!』の中で披瀝された村上春樹の家庭というものに対する考え方や、TVドラマ『北の国から』を素材にして語っているのだけど、非常に示唆に富んだ内容だった。

あと、当たり前だけど、「あとがき」は初出だ。そしてこの「あとがき」にこそ、村上春樹の小説の本質を見事に抉りだしていると思う。村上春樹ファンの人には、この「あとがき」だけでも読んでほしい。

そして、その「あとがき」の最後で内田先生も村上春樹氏に対し、「もっともっと書き続けてくださいね。」と書いていて、激しく同意してしまった。それにしても、次の新作はまだかなあ。早く新しい長編小説が読みたい。

| | Comments (6) | TrackBack (0)

2007.10.17

松山城’07

ブログ『ブタネコのトラウマ』の、札幌在住のブタネコさんが 松山に来られ、道後温泉でひと風呂浴びて、松山城を見上げたそうだ。
「愛媛県松山も 私の好きな場所の一つである。」と書かれてあって、松山市民としてはとてもうれしい限りだ。

#ブタネコさん、300万アクセスおめでとうございます。

この記事を読んで、オカダも松山城に登りたくなり、この週末出かけてきた。そういえば、去年行ったのも秋だった。今年は桜の季節に行きたかったのだけど、結局行けなかった。

Ropeway10173

今回はリフトで頂上へ。リフトなんてものに乗るのは、夏のスキー場で乗って以来、本当に久しぶり。ちょっと恐くて支柱にしがみついていたので、写真は撮れず(笑)。下りのときの見晴らしがなかなかよかった。

Osiro10171

頂上広場では、青空の下、お城を背景にコスモスの花がゆれていて、さほど暑くなく、吹き渡る風も心地よかった。

Tanuki10173

土産物屋さんには、狸の置物があった。愛媛は、八百八狸をはじめとして、狸にまつわる伝説が多いところだそうだ。宮崎アニメの『平成狸合戦ぽんぽこ』にも出てきたとか。

Taruto10174

そして、茶店で一服。お茶請けにはやっぱりタルトぞなもし。

のんびりと秋を味わった一日だった。「坂の上の雲記念館」は、時間がなくなったのでまた今度。

| | Comments (6) | TrackBack (0)

2007.10.12

秋祭

先週末、地元で秋祭があった。お御輿が出て、家々を回るという、いたってシンプルなもの。オカダが小学生の頃は、お御輿を担いだらお小遣いが貰えるので、楽しみだった。今の子たちはどうなんだろう。最近は子どもが少なくなって、子ども御輿なのにほとんど親が担いでいるところもあった。また、昔は中学生の御輿もあったのだけど、今はなくなってしまったそうだ。残念ながらこれも時代の流れだろうなあ。

Maturi10121

これは「御旅所」での宮出しの様子。宮司さんの御祈祷の後、かわいらしい巫女さんの舞があって、一般の人にも紅白のお餅が配られた。

しかし毎年思うのだけど、お祭といってもお御輿が家にくるくらいで、もう一つ盛り上がりに欠ける感じがする。実りの秋を迎えて、五穀豊穣を祈願するという、季節の区切りの意味では大事な行事なのだろうけど、すっかり形だけのものになってしまっているように思える。何かわくわくするようなイベント性が欲しいなあと思うのは、欲張りかなあ。かといって、何をしたらいいかというアイディアもないのだけど。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

2007.10.09

『絵本 ジャンヌ・ダルク伝』

さすがに飽きが出始めているものの、少しずつPS3のゲーム 『ブレイドストーム』 をプレイしている。コンプリートは無理でも(笑)、せめてジャンヌ・ダルクが登場するイベントを見るまでは続けようと思っている。

そういえば、ヤヤーさんのところで ジョゼフィーン・プール (著),アンジェラ・バレット(絵) 『絵本 ジャンヌ・ダルク伝』 あすなろ書房についてのエントリーを読んで、絵の美しさに思わず買いそうになったのだけど、結局買わず仕舞いだった。このゲームをしてるうちにその絵本のことを思い出し、今度こそ買って読んだ。期待どおり、その精密な素晴らしい絵の数々を堪能することができた。

それにしても、ヤヤーさんのように美術に造詣が深いと、同じ絵を見ても受け取る量が全くもって違うのだなあ。とても勉強になった。

ジャンヌの数奇な人生を思うとき、運命の残酷さを感じずにはいられない。日本で言えば、義経に近い感じかなあ。こちらは美丈夫、あちらは美少女。そういう儚さが、未だに人気がある理由なのだろう。ジャンヌについてもっと知りたくなった。

| | Comments (6) | TrackBack (0)

2007.10.04

『草枕』

雑誌で紹介されていた、猪瀬直樹 『作家の誕生』 朝日新書 を読んだ。
20世紀初めの近代文学の起こりから戦後までの移り変わりを、田山花袋、川端康成、菊池寛、芥川龍之介、太宰治、三島由紀夫らその時代を背負って立っていた作家たちを紹介しながら描いていて、なかなか興味深く読んだ。

その「あとがき」に、「僕は若い人に古典を読みなさい、と勧める」とあった。古典とは、自分が生まれる前に出版された作品のすべてがあてはまる、ということだ。古典を読むことによって、今生きているという実感を相対化することができる。それによって、他者とのコミュニケーションが成り立つようになるはずだ、と。

そこで早速、夏目漱石 『草枕』 新潮文庫 を読んだ。これは、何かの理由で少し前に買って積んでいたもの。オカダは高校時代に教科書の「こころ」を読んで以来、漱石のほとんどの長編は読んだけど、これは読んだことがなかった。

amazonの紹介によれば、

智に働けば角がたつ、情に棹させば流される―春の山路を登りつめた青年画家は、やがてとある温泉場で才気あふれる女、那美と出会う。俗塵を離れた山奥の桃源郷を舞台に、絢爛豊富な語彙と多彩な文章を駆使して絵画的感覚美の世界を描き、自然主義や西欧文学の現実主義への批判を込めて、その対極に位置する東洋趣味を高唱。『吾輩は猫である』『坊っちゃん』とならぶ初期の代表作。

ということだ。

冒頭の

山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角がたつ、情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。

は有名だ。

主人公は30歳の画家で、春、熊本県の小天温泉がモデルという、那古井という山奥の温泉へ旅をする。そこでの出来事が描かれているのだけど、ドラマチックな物語が展開するわけではなく、淡々と話が進んでいく。むしろ紀行文に近い趣がある小説。

何しろ注記が多い。漢文、英文学、俳句、和歌、それにその時代の着物や日常の細々したモノなど、わからない言葉だらけだから、当然。この本が出版された当時からして、相当の教養がないと読みこなせなかっただろうなあ。

それでも、内容自体は面白く読めた。主人公は30歳だけど、青年ではなくて立派なおじさんという風だ。画家と言っても職業画家じゃなくて、ただ趣味で描いてるという感じ。かなり老成した態度で、世間や人間を離れたところから見てあれこれ批評しているところに独特の味わいがあった。

解説は江藤淳と柄谷行人と、これがまた豪華な顔ぶれ。

たまにはこういう本を読むのも、立派なおじさんを目指すのにはよさそうだなあ。これを読んで、どこかの鄙びた温泉に長逗留したくなった(笑)。

| | Comments (5) | TrackBack (0)

2007.10.02

クリサンセマム

ようやく秋らしくなってきたので、といってもまだまだ日中は暑いけど、マイガーデンにも秋の彩りを、ということで買ってきたのがコレ。

Kurisen10021

クリサンセマムという花で、そのうちノースポールという種類は白い花だけど、黄色の方が可愛らしかったのでこっちのムルチコーレの方にした。

この前の土曜日急に寒くなって、風も強くて、植え替えをしようと思ってたんだけどパスしたら日曜は雨で、結局月曜日の朝にやった。短い時間でもできるもんだなあ。やっぱり少しの時間でもバカにできないなあ。

Cosmos10022

もうひとつ買ったのはコスモス。いかにも秋らしいからと思って買った。

後から調べたら、どちらも花の盛りはとうに過ぎているのだ。だから半額だったわけだ(買うときに気づけよ>自分(笑))。でもまだまだ暑いから、もうしばらく咲いてくれることを期待しよう。

Asagao10013

ヤヤーさんからもらった種で育てたアサガオも、まだ咲いている。気温が高いと紫に、低いと青くなるそうだけど、うちのはまだまだ紫色だ。

Asagaotane10024

種もいっぱいとれたので、来年も楽しみだ。

| | Comments (7) | TrackBack (0)

« September 2007 | Main | November 2007 »