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2009.04.23

『出星前夜』

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ようやくスギ花粉の季節が終わり、先週末久しぶりにガーデニング。サルビア、マリーゴールド、ペチュニアなどを買ってきて植え付けた。そして、伸び放題になっていたラベンダー畑の雑草を取り除いた。やっぱり花は、見るだけで心が和むし、土や草花の匂いにも癒されるなあ。

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そして、昨年出た本で、評判のよかった 飯嶋 和一 『出星前夜』 小学館 を読んでみた。全541ページの大作。島原の乱を描いた歴史小説だけど、主人公は天草四郎ではなく、幾人もの主役級の人物が重層的に描かれていて、非常に読み応えがあった。

この小説は、島原の乱の原因を、キリシタンの反乱というより、圧政に虐げられた農民の止むにやまれぬ一揆として描いている。通常の倍の年貢を課され、それに少しでも異を唱えようものなら、キリシタンとして見せしめの極刑に付される。それに対して、遂に我慢しきれず、死を覚悟して蜂起する人たち。

読んでいて、圧制者への怒り、虐げられた農民の苦しみを思う気持ちが沸々と湧いてきた。今さらながら、「政事(まつりごと)=政治」の重要さに思いを巡らせた。今は、一応民主主義の社会ということになっているし、小説の状況に比べたら遙かにましなんだろうけど。

全体としては重苦しい内容ではあったけど、鎮圧軍を向こうに回した一揆軍の活躍する様など、スリリングで胸のすくような場面も多かった。また、こういう世の中でさえも微かな希望を抱かせるような話も盛り込まれていて、救いとなっていた。

ただ、これという主人公が定まってないので、その人物に感情移入して小説の世界にどっぷりはまるというわけにいかなかったのが少し残念だった。また、もう少し省いたり簡略化したりしてもいいかなと思える部分もあった。

とはいえ、人間とは、政治とは、信仰とは、と多くを問いかけてくる、非常に優れた小説であることは間違いないと思う。

それにしても、『ブロデックの報告書』といい、ちょっとヘビーな読書の連続で精神的に疲れた(^_^;。次はちょっと軽めのものを読むことにしよう。

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2009.04.16

『ブロデックの報告書』

桜の花も先日の雨でほぼ散ってしまった。

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これは先日久しぶりに行った喫茶店で食べた桜のシフォンケーキ。桜の葉の風味が豊かで、ふっくらした食感でなかなか美味しかった。オカダはお酒も飲むけど甘いものも好きなので、人から変わってるとよく言われる。3時のおやつも欠かしたことないし。その割に太らないのは遺伝した体質のおかげだろう。

そして次は新緑の季節。世間ではGWが話題になっている。中には16連休という会社もあるそうだ。オカダは、例年の如く家でごろごろする予定(笑)。

さて、ヤヤーさんの紹介記事 に触発されて、フィリップ・クローデル 『ブロデックの報告書』 みすず書房 を読んだ。クローデルはフランス、ロレーヌ地方出身の作家。

この小説の舞台は、第二次世界大戦が始まった頃、ドイツに併合されていたロレーヌ地方がモデルのようだ。主人公のブロデックによって、村で起きたある事件のことが語られていく。それと平行して、自分自身の身に起きたことも語られていって……。

徐々に明かされる事件の真相、そして衝撃の事実。非常に重くて暗いストーリーだったけど、エンディングでは微かな希望を見出すことができた。読み終わって、ふうとため息をつきたくなるような、お腹にずんと残るような小説。とてもヘビーな、充実した読書体験だった。

もしオカダがブロデックの立場だったら、ただ大勢に流されるだけかもしれないなあ、残念だけど。

一方、小説の中でのこの村の豊かな自然や田舎の家々の描写には、すごく惹かれた。なぜか強い憧れを持っていることを自分で再認識した。

オカダは、映画は洋画の方が好きで、実際に見るのも洋画がほとんどなのだけど、小説の方は圧倒的に日本の方が多い。特にさしたる理由はないのだけど、やっぱり馴染みやすいからだろうか。これからは外国の小説ももっと読むことにしよう。

と、ここまで書いていったん保留にし、新聞の切り抜きを整理していたら、なんと、敷村良子さんが書いたこの本の書評が見つかった。3月4日付けの地元の新聞。とっておこうと思って切り抜いていたのだろうけど、すっかり忘れていた(^_^;。

敷村さんは書評をこう締めくくっていた。

私たちは侵略国の兵士にも虐殺の犠牲者にもなりうる。
本書は人間の本質をめぐるミステリー。残念ながら、それは結果的にホラーでもある。

さすが、簡潔にして明確にこの本を言い表していると思う。

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2009.04.10

『猫を抱いて象と泳ぐ』

朝起きたら世界は死んでいた、じゃなくて、オカダの身体はものすごく不調だった。やむなく仕事はお休み。ひどい頭痛、高熱、胸はむかつき、お腹は重かった。頭を押さえてただ寝ていることしかできなかった。

二日目、目覚めたらだいぶましになっていた。大事をとってもう一日お休み。本を読めるくらいには体調が回復したので、小川洋子 『猫を抱いて象と泳ぐ』 文藝春秋 を読んだ。

唇に産毛の生えている少年は、とあるきっかけでチェスを覚え、やがて天才チェスプレイヤー アレクサンドル・アレヒン(アリョーヒン)に因んで「リトル・アリョーヒン」と呼ばれるようになるが、そのプレイスタイルは独特のものだった。

まさに小川ワールドとも呼ぶべき小説だった。日本ではないことは確かだけど、ヨーロッパのどこの国かわからない、無国籍とでも言うべき舞台、そしていつのことだかわからない時代背景。内向的で、自分の世界に閉じこもっている主人公。彼を見守る人物たちも、同様に心優しく儚い。そして、紡がれるエピソードの一つ一つが優しくて哀しい。世界は不運や邪悪な人間に溢れているけれど、その中でひっそりと肩を寄せ合って生きていくことができればそれは幸福なことだろう。

外は春爛漫。太陽は暖かく、花々は咲き誇り、小鳥たちのさえずりもにぎやか。そんな中ベッドで本を読んでいると、世界から取り残されてしまったような気持ちになった。そういう気分で読むのにピッタリの本だった。

この小説ではチェスが重要なモチーフになっている。リトル・アリョーヒンが行う数々のゲームについての描写は、非常にドラマティックかつ寓意に満ちている。それも、スポーツのような情熱的な感じではなく、ダンスのような芸術的なものとして描かれている。

でも、チェスがどんなゲームか知らなくても、この小説を味わうのに全然支障はないと思う。オカダは、子どもの頃にちょっと遊んだことがあるので、大まかなところは知っている。日本の将棋と比べると、王(キング)をとられたら負けなのは同じだけど、相手の駒を取っても自分の駒として使うことができないところが大きく違う。

この小説は、小川さんの現時点での最高到達点と言えるだろう。『ダ・ヴィンチ』4月号でも、巻頭の「今月の絶対はずさない!プラチナ本」として紹介されていた。でも、好きな人と嫌いな人にはっきり分かれそうな作品だと思うけど。

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2009.04.02

お城が見える風景

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きのう仕事で市内中心部へ出かけて、ちょっと時間があったので公園へ行ってみた。桜がかなり咲いていた。今週末がピークだろうなあ。花粉症をおして、しばしお花見。

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東側にお城も見える。ブタネコさんが、寅さんが旅したニッポン(大洲編) で、『城が見える風景って いかにも日本って感じがして私は好きだ。』と書いていて、そういう感じ方もあるのかと、ちょっと新鮮だった。

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その後立ち寄った本屋さんで目にしたディスプレイ。本屋でこんな立体的なのは初めて見た。ついついこの本を買いそうになった。でも、オカダもたまごかけごはんは好きだけど、365日はなあ、と思って結局買わなかった。

そこで目にしたのが、ダ・ヴィンチ4月号。「図書館で、恋をする」という記事につられてついつい買ってしまった。残念ながら「いとしい奇跡」になんて出会ったことがないのだけど。『海辺のカフカ』や『図書館の神様』以外の図書館小説も今度読んでみよう。

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