『横道世之介』
今週ももう週末。早かったなあ。ブログサバト、とか言ってみる。
先週末BSの『週刊ブックレビュー』をたまたま見てたら、女優・作家の西山繭子さんが吉田修一『横道世之介』毎日新聞社を「おすすめの本」に選んでいたので、早速読んでみた。
時は80年代、バブル景気真っ盛りの頃の東京。主人公の横道世之介は、大学進学のため田舎から上京してくる。そして繰り広げられる大学生活が、一年に渡って描かれる。
特筆すべきは主人公世之介のキャラクターだ。ちょっと図々しいけどお人好し、どこかユーモラスで憎めない性格なのだ。そして、取り立てて大事件が起きるわけでもないけど、なんか楽しい学生生活。
この小説の特徴が、何の前触れもなく本当にいきなり描かれる、登場人物の現在の様子。それによって読者は、現在からの視点で、過去の出来事として小説の中の世界を思い浮かべることができ、そのことはより強い感懐をもたらすことになったと思う。
そして現在の世之介はというと、非常に意表を衝かれることになっていて、作者の着想がちょっとズルいとさえ思ってしまった。
主人公と同じように田舎から上京して学生生活を送ったオカダは、非常に懐かしい思いで読んだ。通り過ぎていった日々への、心地よい郷愁を感じさせてくれた、ちょっと心が温まるような小説だった。
次は、映画化も決まっていて評判のいい『悪人』を読んでみよう。こちらは大分作風が異なるようだけど。
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Comments
へぇ~なんだか面白そうです、この本。
図書館リストにメモっときます。
映画化といえば、彼の「7月24日通り」が原作の
「7月24日通りのクリスマス」は結構好きでした。
悪人も映画化されるんですねー。
本も未読ですが評判いいんですね。
ところで「ブログサバト」ってなんですか?
聞くのは野暮だったらごめんなさい。
Posted by: ciao* | 2009.11.16 04:48 PM
ciao*さん、こんばんは。
この本、結構笑えて、ホロリとさせられて、かなり面白いですよ。おすすめです。
『7月24日通り』の映画、なかなか面白そうですね。レンタル用にメモっときます。
『悪人』は小説の方を先に読んでみようと思ってます。どっちを先にするかはいつも悩ましいんですが。
「サバト」というのは、安息日のことで、ユダヤ教では土曜日、キリスト教では日曜日だそうです。アルファブロガーのfinalventさんが毎週金曜日に「ブログサバト」と書いてるので、ついマネして書いてしまいました。こちらこそ変なこと書いてすみません。
Posted by: オカダ | 2009.11.16 05:58 PM