『不幸な国の幸福論』
今年もいよいよ確定申告の季節がやってきた。毎年何とか2月中に終わらせたいと思うのだけど、今年も結局期限ギリギリまでかかってしまうのだろうなあ。
そんなおり、加賀乙彦『不幸な国の幸福論』集英社新書を読んだ。「不幸な国」とはもちろん日本のこと。精神科医で作家である著者は、1929年生まれ。オカダが著者の『現代若者気質』という本を古本屋で買って読んだのは確か高校生の頃で、あれから数十年経ったけど、今も現役でおられるのだと思うと感慨深い。
この本の第1章では、冒頭で秋葉原通り魔事件の犯人を例に挙げ、幸福を阻む考え方・生き方について考察していて、一つは「『考えない』習性が生み出す不幸」、もう一つは「他者を意識しすぎる不幸」について述べている。
第2章では、「『不幸増幅装置』ニッポンをつくったもの」と題して、日本という国について考察している。
第3章では、「幸福は『しなやか』な生に宿る」と題して、幸福を生み・担う生き方について考察している。
第4章は「幸せに生きるための『老い』と『死』」と題して、人生85年時代の「豊かな老い」の過ごし方について考察している。
何と言っても本書の胆は第3章。著者は、幸福を定義してはいけない、と言う。何故なら、幸福とはこういうものだと考えた途端、人間はその定義と自分の状態とを引き比べ何かしらのマイナスを見つけてしまう傾向があるから。そして、つまるところ幸不幸は考え方次第だと言う。
そのありふれた結論について、著者独自の考察が加えられていて、非常に腑に落ちるもので、これから生きていく上で大いに参考になる内容だった。
ちょっと生きるのに疲れたら、手にとってほしい本。
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Comments
ふむふむ。。。なかなか興味深いです。読んでみたくなりました。特に「そのありふれた結論について、著者独自の考察が加えられていて、非常に腑に落ちるもので」というところ。失礼ながら、幸不幸は考え方次第なんて私でも分かるぞと思ったので^^;
あと、
>幸福とはこういうものだと考えた途端~
のあたりも、非常に良く分かります。自分で決めたことに縛られてしまうこと、よくあるんですよねー。
Posted by: ciao* | 2010.02.19 11:02 AM
ciao*さん、こんばんは。
「幸不幸は考え方次第」を考察してあるところは、この本のキモなので書いてませんが、著者の考え方に賛同するにしろしないにしろ、一読の値打ちはあると思います。
>自分で決めたことに縛られてしまうこと、よくあるんですよねー。
そうですよね。人間の脳には「統一性・一貫性」を求める性質があるので、そうなってしまうそうです。それで、「しなやか」な精神をもって生きることが大切だそうです。
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