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2010.04.30

伊丹十三記念館

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スズランの花が咲いて、ゴールデンウィークの到来を知らせてくれる。今年も予定のないまま迎えるGW。休日をいかに効率的かつ有意義に過ごすか、は一生の課題だなあ。

そんな折り、仕事で市内に出かけたついでに、ずっと行きたいと思っていた伊丹十三記念館に行ってきた。開館してもう3年になるそうだ。

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着いたのは開館して間もない午前10時過ぎ。焼き杉板張りの、非常に独特な外観。交通量の激しい国道から少しそれた場所にあった。

入口脇の受付で入場料800円を払って早速「常設展示室」へ。十三の名前にちなんだ13のコーナーに分けてあって、音楽愛好家、商業デザイナー、俳優、エッセイスト、イラストレーター、料理好き、乗り物マニア、テレビマン、猫好き、精神分析啓蒙家、CM作家、映画監督と、伊丹十三という多才な人物の一端を知ることができる内容になっていて、自由に引き出しを開けたり、イラストを映した長い布を回してみたりと、いろいろな趣向が凝らしてあってなかなか楽しい展示だった。

ただ、展示物には番号が貼ってあって、説明はその都度パンフレットを参照する仕組みになっていて、ちょっと煩わしかった。

その次は、「企画展示室」。今回の企画展は「メイキング・オブ・マルサの女」で、映画『マルサの女』『マルサの女2』をテーマにした展示がされていて、映画を作るためにいろいろ勉強したり取材したりした様子、いろいろな手直しが書き込んである手書きの脚本、、自分で描いたという映画のポスター、わざわざドイツから輸入したという、当時日本に2台しかないという高価な編集機械等々、伊丹流の映画制作術を見ることができて、映画好きとしてはとても興味深かった。

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その後は「カフェ・タンポポ」でコーヒーと十三饅頭。係の人以外には誰もいなくて、春ののどかな日射しを浴びる中庭を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごすことができた。

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この記念館を訪れる人々は、その都度伊丹のことを思い出す訳けで、その点では伊丹は人々の記憶の中にいつまでも生き続けるということだ。

お土産に買ったのは、伊丹十三著『ヨーロッパ退屈日記』新潮文庫。この本は、以前内田樹先生が「日本人の社会と心理を読み解くための20冊」に挙げていた。1961年、俳優としてヨーロッパに長期滞在したときのことを綴ったエッセイ集。読むのが楽しみ。

また機会があったら来てみようと思う、いい雰囲気の施設だった。ときどきは収蔵庫を見学するツアーも行われているそうで、次は5月15日(土)、16日(日)、17日(月)に開催されるとのこと。各日とも、(1)11時~ (2)15時~ の2回で、定員は各回6名(計36名)というのはなかなか確率が低そうだ。その日は館長の宮本信子さんも来られるという。

そういえば、伊丹が監督した映画のうち『大病人』だけはまだ見てなかった。近いうちに見てみよう。

いよいよ5連休。お休みの人も、そうでない人も、よいゴールデンウィークをお過ごし下さい。

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2010.04.23

『1Q84 BOOK3』

このところ本当に雨が多い。気温も上がったかと思うと真冬並みに逆戻りしたりと、全く異常だなあ。体調管理がとても難しい。

『1Q84 BOOK3』を読んだ。さすがは内田樹先生、ちゃんとBOOK1と2を読み返してからBOOK3を読むそうだけど、オカダはついついそのまま飛びついてしまって、あれ、どうだったけ?、という場面に何度か遭遇してしまった。もしBOOK4が出るなら、そのときはちゃんと復習してからにしよう。

さてこのBOOK3、驚くべきことに「牛河」の章が独立して書かれている。つまり、天吾、青豆、そして牛河と、三人を対象として語られていくのだ。そしてこの巻では、1、2と異なり物語は非常にゆったりとしたテンポで進んでいく。その分、三人の内面に深く入り込んだ描写がなされている。村上春樹は、牛河のような人物も結構好きなんだろう。そこに村上春樹の人間観、世界観が色濃く投影されていると感じた。

例によって非常に重層的かつミステリアスな展開。普通のミステリーと同じようなハラハラドキドキする部分もあった。しかし、やっぱり様々な謎は回収されないまま。多分、BOOK4に続くのじゃないだろうか。そうだといいなあ。

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2010.04.16

『道元の冒険』

井上ひさしさんがお亡くなりになった。御高名は耳にしていながら、あまり縁がなく、読んだことがあるのは『本の運命』くらい。部屋に本を積みすぎて床が抜けてしまい、結局13万冊もの本を寄贈して図書館ができてしまったというのは、本好きの鑑だなあ。

で、『道元の冒険』 という芝居が去年WOWOWで放送され、それを録画していたのを思い出し、追悼の意味を込めて見てみた。これは、井上さんが脚本を書いて、蜷川幸雄さんが演出して2008年に上演されたもの。何しろ3時間もあるので、とっつき難くかったのだけど、二夜に分けて鑑賞した。

主役は阿部寛。なぜか栗山千明や横山めぐみもお坊さんの役で登場。それぞれが何役もこなして登場人物が入り乱れる面白さがあった。ミュージカル風に歌や踊りもあったり、また現代と交錯する場面もあったりして、なんとも奇想天外な舞台だった。木場勝巳が、本物のお坊さんっぽくて渋い味を醸し出していた。

オカダはほとんど仏教のことを知らないのだけど、ちょうど島田裕巳『葬式は、要らない』幻冬舎新書を読み、五木寛之『親鸞』講談社を読んでいるところだったので、この芝居の時代背景が少しわかっていてよかった。この芝居の原作を読んでもっと理解したくなった。

それにしても、芝居はだいたい長いものが多い。実際に劇場で見ると、面白くて時間が経つのを忘れるのだろうか。

井上ひさしさんの御冥福をお祈りします。

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2010.04.09

『あたらしいあたりまえ。』

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春はお別れの季節。この春も、何人かの知人がこの町から引っ越していった。中には、たぶんもう二度と会うことはないだろうという人もいて、もっと話をしておけばよかったと思わずにはいられない。

オカダは、進学のためにこの町を離れ、そして戻ってきて以来、数え切れないくらいの人を見送ってきた。はたして、いつかも自分も見送られる側になることがあるだろうか。散りゆく桜を見ながら、少し感傷的になって思いを巡らしてみたり。

春は始まりの季節。今朝、通勤途中で、真新しい学生服に身を包んだ中学生の男子二人とすれ違った。今日は中学校の入学式。二人の顔は、嬉しさと誇らしさ、照れ臭さとが混じり合って生き生きとしていた。式の内容は憶えていないけど、初めての長い道のりを、新しい教科書の詰まった思い鞄を肩から提げて歩いて帰ったのを思い出す。あれから随分遠いところまできてしまったなあ。

そんなおり、松浦弥太郎『暮らしのなかの工夫と発見ノート2 あたらしいあたりまえ。』PHP研究所を読んだ。松浦さんは、COW BOOKSという本屋さんの店長にして、『暮らしの手帖』の編集長。

この本には、松浦さんが、暮らしと仕事をイキイキと輝かせるために、、自分が発見したり、工夫したり、気がついたりした、沢山のあたらしい「あたりまえ」について書かれている。その基本は、毎日をていねいに生きるということであり、人を大切にするということ。その底には、様々な経験を積んできた著者ならではの人生に対する深い洞察があると感じた。

非常に実用的な内容で、自分もやってみようと思うところに付箋を貼っていったら、付箋だらけになってしまった。生きることについて元気がもらえる本だった。

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