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2010.10.29

『一億総ガキ社会 「成熟拒否」という病』

今週、一気に冬がやってきた。夏が終わったらもう冬という感じ。来週は平年並みに戻るらしいけど、季節はずれの台風まで近づいていてお天気は荒れ模様。

そんな折り、片田珠美 『一億総ガキ社会 「成熟拒否」という病』 光文社新書 を読んだ。著者は精神科医で、パリでラカン派の精神分析を学んだそうだ。

著者は、現代の日本において、何でも他人のせいにして切り抜けようとする他責的傾向を持つ人が増えているという。その例が、モンスターペアレンツであり、モンスターペイシェントだと。

モンスターペアレンツは、「パーフェクトチャイルド」を育て上げることを目標としたており、理想の子どもとわが子との間にギャップがあると、自分の教育が悪いとは決して思わず、教師や学校のせいにして怒鳴り込むという。何より大切なのは、「パーフェクトペアレンツ」であるという自分のイメージだから。

そしてまたそうした親は、学校をサービス業ととらえ、自分を消費者=客として正当なサービスを受ける権利があると考える傾向が強いという。

このへんの分析は、内田樹先生の考えに通じるところがあって興味深かった。

このような人間の増加に大きく関わっているのが、「あきらめるな」というメッセージを送り続け、「誰にでも無限の可能性がある」という幻想をふくらませ続ける消費社会の有り様だという。

外部の規範から解放されて自由になり、「自己実現」を追求できるようになったけど、その代償として、すべて「自己責任」で選択し行動しなければばらない社会というのは、考えてみるとなかなかしんどいものだと思う。誰もが「実現」したい素晴らしい「自己」を持てる訳でもないし。やはりある程度で「断念」して、「ほどほど」でいいという考え方も必要なのだろうなあ。

たぶん編集者がつけたんだろうけど、この書名はどうかと思う。それでも、なかなか興味深い内容の本だった。

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2010.10.21

『街場のメディア論』

Viola1021

秋の好日、近所のホームセンターでパンジーとビオラが売られていたので、買ってきて植え付けをした。だんだん花に対して情熱が薄れてきた今日この頃ではあるけれど、まあぼちぼちやっていこう。

そんなおり、内田樹先生 『街場のメディア論』 光文社新書 を読んだ。この「街場」シリーズも4冊目。

内田先生によれば、「メディアの不調は、現代日本人の知性の不調と同期している」という。

たとえば、裁判においては「推定無罪」という法理があり、有罪判決が確定するまでは被告は無罪として扱われる。同じように、メディアは強者と弱者の利害対立に際しては、弱者に「推定正義」を適用する。ところが、実は弱者が正しいわけではないことがあきらかになっても、「推定は誤りだった」ということをメディアは決して認めない、という。結局メディアは思考停止していて、物事を「定型」にあてはめる形でしか伝えていないというところに原因があるという。

このようにメディアの不調を論じながら、最後は「贈与」と「返礼」という、文明論、社会論にまでたどりつくのが内田先生ならではの語り口で、非常に読み応えがあった。

結局のところ、メディアは日本人の「鏡」なのだろう。あれこれ言われながらも、TVや新聞の社会に対する影響力は全然低下していないように思える。文字通り世論を作っているといえる。

先生の論法に従えば、「政治家の不調は、現代日本人の知性の不調と同期している」とも言えるかもしれない。

次は『街場のマンガ論』。読むのが楽しみ。

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2010.10.08

『バイオハザードIV アフターライフ』

今日は雨。一雨ごとに涼しくなっていく感じだ。またすぐ寒くなるのだろう。冷房も暖房も要らない時期ってどんどん短くなっているような気がする。冬が来る前に何かやっておきたいことも特に思い浮かばない。

春樹さんは今年も受賞ならず。去年までは、別に獲らなくてもいいんじゃないかと思ってたけど、今年はちょっと残念な気がした。

今週、久しぶりに市内へ出かける用事があり、ついでに映画を見てきた。本当は『借りぐらしのアリエッティ』を見たかったのだけど、残念ながら夜しか上映してないということで、3D版の『バイオハザードIV アフターライフ』を見ることにする。劇場は、ちょうどレディースデイということもあって大勢の女性客が並んでいた。

『バイオハザード』シリーズは、ホラーものが嫌いなオカダとしてはあまり好きではない。といいながら前3作ともブルーレイディスクで見ているのだけど。にもかかわらずこの映画を見たのは、『アバター』に続いて3D映画を見たかったから。

内容は、評判どおり面白くなかった。何というか、主人公が強すぎて全然ハラハラドキドキしなかった。でも続編がありそうなエンディングだったなあ。

3D映像に関しては、やはりモノが飛び出してくる感じはすごい。斧が飛んでくるシーンなど、思わず目を瞑ってしまったほど。なんて書くと、反射神経が鈍いことがばれてしまうなあ。

一方、奥行き感はやはり不自然で、平面が何枚も重なっているという印象は変わらなかった。やっぱり遊園地のアトラクションくらいでちょうどいいのかも。

画面が暗くなるという点と、色合いが薄くなる点は、この映画に関しては問題なかったけど。

また、やっぱり途中で目が疲れた。残念ながらオカダには合わないみたいだ。

ということで、我が家への3Dの導入は当面見送ることに決定。3DTVはあまり売れてないそうだ。やはり問題はコンテンツ、3Dで見たいと思うようなソフトがいかに充実するかにかかってるんだろうなあ。

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2010.10.01

『小説家という職業』

先週、待望久しかった雨が降り、それに伴ってようやく暑さが緩んだかと思ったら昨日は肌寒いくらいの気温だった。このまま秋が深まっていくのだろうなあ。

そんな折り、タイトルに惹かれて 森博嗣 『小説家という職業』 集英社新書 を読んだ。

自分がプロの「小説家」としてどのようにやってきたかが書かれていて、あまりにも開けっぴろげな内容だったので驚いた。著者は一生暮らせるだけの資産を蓄えたので、ライバルたちのことをもう心配する必要もないからというのがその理由のようだ。宣伝効果を考えて読者からのメールには必ず返事を書くといった、まさにマーケティングの手法を取り入れたその卓越したビジネス戦略には驚いた。

そして、複数の出版社を渡り歩くなど、「自分の自由のために『他人が自分を好きになること』を犠牲にしてきた」というその姿勢には脱帽。自分には到底真似できないなあ。

前近代的な出版業界に対する批判、迫りつつある電子書籍時代についての予想なども書かれていて興味深い内容だった。

「小説家という職業」に興味のある人にはオススメの本。

森博嗣さんの本は、『少し変わった子あります』を読んだことがあるだけだった。デビュー作の『すベてがFになる』が気になって、図書館で探したら見つかったけど、分厚くてしかも2段組の新書サイズだったので断念。

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