『苦役列車』
2月ももう半ばを過ぎた。先週末はものすごく寒くて、こちらでも一時は吹雪いた。雪質が乾いてるせいか、積もることはなかったけど。その後日雨が降って、徐々に暖かくなってきているようだ。クリスマスローズも咲き始めた。
そんな折り、先日芥川賞を受賞した西村賢太の『苦役列車』を読んだ。芥川賞の受賞作品か受賞作家が気になると、作品が掲載されている『文藝春秋』を買って読むことがあるのだけど、今回は作家が気になって読んでみた。各選考委員の選評を読むのも楽しみの一つだ。
あらすじについて、TVや新聞雑誌などで散々見聞きしていたせいで、実際に読んでみてもそういうストーリーで、最後まで読んで、もうこれでお終いか、と思うような内容で、ちょっと物足りなさを感じた。
一方、主人公の北町貫多に対しては、共感できる部分が沢山あって、作者の実体験に基づいてかつコミカルにデフォルメして書いたとのことだけど、元来ものぐさで怠け者のオカダとしては、この主人公のような生き方に一種の憧れを覚えたりする。そしてまた、若いときの自分を思い出して複雑な気分になったりした。
また、現在は不況下で、こういう小説が好まれるような時代背景もあると思う。バブル時代だったらこんなに注目されることもなかったかもしれない。もっとも、この小説の舞台は80年代初めの、バブル景気がこれから膨らもうとしている時期なのだけど。
冒頭いきなり「のうじ(本文では漢字、漢字がPCでは出てこない)という見たことのない漢字が出てきたりと、言葉遣いがかなり古い感じだった。逆にそのことが、年配の選考委員には評価されたようだ。
芥川賞は、ストーリーよりも文体や文章力といったものが重視されるという話をどこかで聞いたことがあるが、この作品を読むとやっぱりそうなのかと思った。
そういえば、『小銭をかぞえる』という作品も、ちょっと評判になっていて、目にとまった。結局読まず仕舞いだったけど、もうすぐ文庫本が出るようなので、出たら読んでみよう。


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