2016.01.07

新年の御挨拶&『あこがれ』

みなさま、あけましておめでとうございます。本年も、よろしくお願いいたします。

前回の更新から、あっという間に半年以上経ってしまった。なんか、去年と同じようなパターンだけど、昨秋から生活が激変してしまい、自由にできる時間が減ってしまったのも大きな要因だ。

昨年は、未年ということで、平穏な一年になってくれることを願ったのだけど、個人的に全然そうならなかったのは、全く予想もできなかった(^_^;。

申年の今年は、世界的に既に波乱含みだけど、個人的には努めて平穏に過ごしたいと思っている。

そんな中で年末に読んだのが、川上未映子 『あこがれ』 新潮社 。図書館で見つけて手にとったのだけれど、川上さんの小説の手触りは、やっぱり妙にしっくりくる。

今回は、10歳くらいの少年が主人公。これからいよいよ思春期に入ろうという、とても微妙な時期の少年の心理が、絶妙な温度で描かれていて、避けようのない現実も垣間見えるものの、じんわり暖かくなるような小説だった。

こうしてひさしぶりに記事を書いてみて、「書く」という行為は、いろいろな意味でいいことだなと、改めて感じた。何とか時間を確保して、今年も書いていきたい。

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2015.02.27

『人生からへこんでる時間が減る習慣』

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もう2月も終わり。庭の梅も咲き始め、春の訪れを感じさせてくれる。それは、つらい花粉症の季節の始まりでもあるのだけど。

また落ち込むことがあり、そんなときに 植西聰 『人生からへこんでる時間が減る習慣』 青春新書プレイブックス を読んでみた。著者は心理カウンセラー。『「折れない心」をつくるたった1つの習慣 』等の著書多数。

この本は、全部で8章に分かれていて、人生をポジティブに生きるために必要なコツがわかりやすく実践的に書いてあって、いくつか参考になる言葉があった。

例を挙げると、『「怒らないで物事を解決する」ことを習慣にする』、「スタートダッシュよりも、ラストスパートに重点を置くほうがいい」、『「悩む」ことでなく「行動する」ことにエネルギーを使う」、『「人からどう思われるか」ではなく、「人のために何ができるか」を考える』、等々。

読んで、少し心が軽くなった気がした。

本当のところを言えば、村上さんのところに相談したかったのだけど、ぐずぐずしてる間に受付期間が終了してしまった(^_^;。仕方がないので、春樹さんと相談者とのやりとりを読みながら、ヒントを探すこととしよう。

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2014.06.06

『ノボさん』

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バラが咲く5月もあっという間に終わり、もう6月。この時期は、家に籠もって過ごすのにピッタなのだけど。

そんな折り、伊集院静 『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』 講談社 を読んだ。正岡子規については、小説『坂の上の雲』とNHKの同名のドラマでしか知らなかったのだけど、この小説は、また違った角度、特にサブタイトルにもあるように夏目漱石との関わりに重点を置いて書かれていて、学生の頃『こころ』をきっかけに漱石を読みふけっていたオカダとしては、非常に興味深く読んだ。

特に、子規が初めから俳句に傾倒していたのではなく、短歌や小説、評論等にも挑戦していたというのは意外だった。

非常に丹念に調べて書いていることが伺え、人を惹きつけてやまない子規の人間的魅力が生き生きと描かれていて、作者の、子規に対する尊敬の念を強く感じた。

ところどころで作者自身の考えも述べられていて、距離をおいて努めて客観的に書くという手法をとっていないところが、読んでいて、より生身の子規を感じることができた。

非常に充実した、読み応えのある小説だった。もう一度ドラマが見たくなった。読んでいて、子規として浮かんできたのはなぜか本木雅弘の方だった。

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2013.07.24

『そして、人生はつづく』

大暑を迎え、暑さの厳しい毎日が続いている。そんなおり、川本三郎 『そして、人生はつづく』 平凡社 という本を読んだ。

この本は、『東京人』という雑誌に2010年から2012年までに連載された「東京つれづれ日記」を中心に、その間に書いたエッセイ等が収められている。

川本さんの名前は、映画評論家として以前から知ってはいたけど、先日『マイ・バック・ページ』という映画を見て俄然興味を持った。2008年に奥様を亡くされ、以来一人暮らしを続けているという。

まえがきに「本を読む、映画を見る、音楽を聴く、町を歩く。一人ですることばかりだ。旅も大半は一人旅。これに、家事という新しい仕事が加わった。」とある。そして、様々な場所へ出かけていっては、その町を歩いている。その健脚ぶりが羨ましい。

この本に触発されて、オカダも久しぶりに町へ出た。電車を降りて歩いていると、暑さで溶けてしまいそうだった。評判の蕎麦屋で、天ぷら蕎麦を食べる。冷えた蕎麦が喉ごしに心地よかった。

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その後、いったん宿へ戻って昼寝。そして、「土曜夜市」という商店街のイベントを覗いてみることにする。最近は町の中心部の商店街もどんどん活気を無くしつつあるそうだけど、さすがにこのときはかなりの人出だった。

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地元のアイドルユニット、「ひめキュンフルーツ缶」が路上ライブをやっていて、周りはファンの若い男性の声援でスゴイ熱気だった。

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とある雑貨屋さんに入ってみると、片隅に本棚一つだけの「小さな本屋」が。とても微笑ましい感じだった。

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宿に戻り、ビル群の上に浮かぶ月を眺めながらビールを一杯。連日猛暑日が続いていて身体に堪えるなと思いながらも、いろいろ刺激を受けた一日だった。

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2013.06.14

『世界から猫が消えたなら』

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もう6月も半ば。梅雨に入って2週間以上経つというのに、こちらではほとんど雨が降らない。その代わりに真夏日が続いて、早くも夏バテしそうだ(笑)。庭に咲いた紫陽花の花も、心なしかひと雨待っているように感じられる。

そんなおり、タイトルに惹かれて川村元気 『世界から猫が消えたなら』 マガジンハウス を読んだ。著者は、映画プロデューサーで、『電車男』、『告白』、『悪人』を企画・プロデュースした人。作家としては本作品がデビュー作。

主人公は30歳の郵便配達員。脳腫瘍で余命あとわずか。突然現れた悪魔と、僕の周りにあるものを消すことと引き換えに1日の命をもらうという、「悪魔の契約」を結んでしまう……。

設定がユニークで、人生についていろいろ考えさせられるストーリーだった。猫好きの人、たとえば村上春樹のような人にとっては、タイトルのような世界は耐えられないだろうなあ。

あと、当然ながら映画に対する愛に溢れた部分もあって、こちらの方は強く共感した。

もしそれがなくなったら、生きていけないものが果たしてあるか、考えてみたけど、思い付かなかった。本当になくなってから、そのかけがえのなさに気づくものかもしれない。

やっぱり、活字よりは映像で見たいタイプの物語だった。そのうち映画化されるかなあ。

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2013.05.24

『冷血』

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今週は、一気に夏の陽気になった。それでも空気が乾燥していて、新緑はまだ目に優しく、非常に過ごしやすい季節だ。とはいえ、梅雨ももうすぐ。こうして知らず知らずのうちの季節は進んでいくのだなあ。庭のナデシコの花が満開になった。

そんなおり、高村薫『冷血』(上・下)毎日新聞社 を読んだ。以前、高村薫に嵌って読み耽っていた時期がある。『レディ・ジョーカー』が出版された頃だったから、もうかなり前のことだ。多分にネットの影響が大きかったのだけど。

そして時は流れて、たまたま目に止まった『冷血』上巻を読んでみた。物語は、二人の男が伝言サイトを通じて出会うところから始まる。その間に、一人の女子中学生が語る物語が挿入される形でストーリーが進行していく。そして上巻の後半から合田雄一郎が登場してきて、下巻を通して合田の視点で物語りが語られていく。

高村薫独特の、粘り着くような文体は健在だった。前半は非常に読み応えがり、次なる展開への期待もあって、どんどん読み進めていって止まらなくなる程だったけど、後半はテンポも悪くなり、読了するのが正直しんどかった。

それでも、読み終わってそれ相応の手応え、充実感は感じることができた。彫りの深い人物像をこれだけ稠密に描くことができるのは高村薫ならではだろう。

お手軽なミステリーに物足りない人にお薦めしたい本ではあるけど、ボリューム、内容両方のヘビーさ故に、読むにはそれなりの覚悟が必要だと思う。

その後、物語に登場する映画『パリ、テキサス』を見たみた。確かにナスターシャ・キンスキーは綺麗だった。

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2013.04.05

『ペコロスの母に会いに行く』

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週末、近所のお寺へ桜を見に行ったら、満開には少し早かった。でも、明日からの雨で散ってしまうだろうなあ。

NHKBSで放送された、『ペコロスの母に会いに行く』というプレミアムドラマに興味を惹かれたので録画しておいた。

数日後、図書館に行くと、『ペコロスの母に会いに行く』の本があったので速攻で借りてきて読んだ。

作者の岡野雄一さんは、長崎在住の無名の漫画家。今は施設で暮らす認知症の母との日々を、4コママンガで描いている。

元々は自分が編集者を務めていたタウン情報誌に連載していたものを、集めて自費出版したところ、地元でかなり評判になり、それを地元の新聞社がエッセイや新作を追加して出版したという。

認知症の母との生活が、非常にユーモラスに描かれている一方で、母や、亡くなった父との思い出なども書かれおり、しんみりさせられるところも多くあった。また、途中に挿入されているエッセイも、非常に味わい深いものだった。

それから数日後、ドラマの方を見た。主役はイッセー尾形。母親役は草村礼子。岡野さんとお母さん本人が登場するドキュメンタリーの部分もあり、マンガのコマ自体を映したものや、アニメーションの部分もあり、ドラマの方も、本にはないエピソードがあったりと、非常にバラエティに富んだ内容だった。

どちらも、「忘れること、ボケることは、悪いことばかりじゃないんだ。母を見ていてそう思った」ということがメインテーマになっていた。オカダも、記憶力がいいことだけが取り柄だったのに、最近はどんどん物覚えが悪くなり、特に人の名前が出てこないことが多くなっている。嫌なこと、どうでもいいことは忘れてしまった方がいいってことだろう。

ドラマの方は放映が終わってしまったからともかくとして、この本はとてもいい本だった。

そして、映画化もされるという。どういう作品に仕上がるのか、楽しみだ。

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2013.02.15

『俺に似たひと』

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今日は、午前中は雨だったけど午後から晴れて、やや暖かかった。クリスマスローズの花が咲き始めた。一方、今週からスギ花粉も飛び始めたようで、また憂鬱な季節がやってきた。

そんな折り、内田樹先生の盟友である平川克美が書いた『俺に似たひと』医学書院を読んだ。この本は、著者が「俺に似たひと」、つまり著者の父親の介護について語ったもの。母親の死亡後、独り暮らしとなった父親を介護するために、実家で共に暮らし、日中は仕事に出かけ、帰ってきて食事、入浴等の世話をするという生活を続けた。

そんな生活が淡々と綴られていて、暗くなりがちな話であるにもかかわらずそうなっていないのは、著者の性格が反映されているのだろう。

介護する側とされる側、両方に思いを馳せながら読んだ。とても心に残る本だった。

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2013.02.01

『64』

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あっという間に1月も終わり、今日から2月。寒さが厳しかった今週前半に比べて後半はやや暖かかったけど、まだまだ寒い日が続くのだろうなあ。

庭のプリムラ・ジュリアンの花が今年も咲いた。寒さにもめげず、結構丈夫で長持ちしてくれる。

今年最初に読んだ本は、横山秀夫『64』文藝春秋。横山さんの作品は、以前『陰の季節』、『半落ち』等を読んだことがあり、面白かった記憶がある。その横山さんの7年ぶりの新作が、各メディアでかなり評判が高いので読んでみた。

読み始めて、高村薫の合田雄一郎シリーズのような、濃厚な、一種息苦しさを感じるような味わいを感じた。どちらも警察官が主人公で、警察という巨大な組織の中での人間の有り様が描かれている点が共通している。

しかし、この作品では主人公は警察官だけど、刑事ではなくて広報官であるところに特徴がある。そして、それゆえにマスコミへの対応に苦慮する姿が、自身が元新聞記者だった横山さんだけに、非常にリアルに描かれていて、強く興味を惹かれた。

そして物語の軸になるのが、未解決の誘拐事件。この事件を巡って、様々な人物が入り乱れて動いていく様は、非常にサスペンスフルだった。

久しぶりに、そして新年1冊目に、読み出したら止まらない本に出会えた。今年は非常に幸先がいい感じだ。間違いなく傑作。一食抜いても是非。

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2012.07.06

『私が弁護士になるまで』

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梅雨の晴れ間に出かけた際、道端で見かけた名も知らぬ花。ふと、自分の人生を重ね合わせてみたりする。

そんなおり、菊間千乃『私が弁護士になるまで』文藝春秋 という本を読んだ。きっかけは、たまたま流れていたNHKの『ミュージック・ポートレイト』というTV番組に、著者と加藤登紀子さんが出演しているのを見たから。

著者は生放送中の転落事故で大怪我を負い、長期入院を余儀なくされ、やっと復活したと思ったら未成年アイドルの飲酒騒動に巻き込まれた。

そんな中、ふとしたきっけかけでアナウンサー勤務の傍ら夜間のロースクールに通い始め、そのときはまだ騒動の起きる前であり、格別弁護士を目指していた訳ではなかったのだけど、やがてTV局を退社して勉強に打ち込み、司法試験に合格して弁護士になるまでのことが綴られている。

仕事をしながら夜間のロースクールに通っていた頃は、授業に復習、課題まであって睡眠時間3時間だったそうだ。TV局をやめてからは毎日15から16時間、勉強漬けだったとのこと。

大きな挫折を味わいながら、それでも必死で前へ進もうとしてきた著者の精神力、生きる姿勢には強く心を打たれた。一方で、自分にはとてもマネできないなあとため息ひとつ。

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